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宇宙時代における生命科学はこう変わる

Geocentric(地球中心)とCosmic Scale(宇宙規模)な研究提案

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 日本も月面着陸探査ロケットを飛ばす計画が先日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から発表された。無人探査機SLIMを早ければ2018年度に打ち上げる計画で、成功すれば日本初、世界では旧ソ連、米国、中国に続く4番目の探査機月面着陸となる。

拡大無人探査機「SLIM」の月面着陸時の想像図=JAXA提供

 米国では、すでに民間による宇宙開発事業がブームになっている。Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルーナ・エックスプライズ)は、世界で一番早く月面探査を成功させる民間チームのコンテストだが、日本でもこれへの挑戦を目的に民間ベンチャー「株式会社ispace」の運営する「HAKUTO(ハクト:白兎)」プロジェクトチームが2008年に結成された。HAKUTOは、2016年末までに月面探査を成功させようとしている。

 今世紀半ばから後半にかけては宇宙を舞台とした研究開発やビジネスが花盛りとなるのは間違いない。

 このように宇宙開発が進むにつれて、生命科学にも新しい時代が訪れると筆者は予想する。これまでは、地球という環境を前提とした生命科学が発展してきた。しかし、これからは、宇宙という環境における生命科学への推移が必ず起おこる。つまり、宇宙時代の始まりは、新しい生命科学の時代の幕開けでもあるのだ。

 因みに、筆者は1962年生まれなので、まさにアポロ世代だ。小学校のころ、将来は科学者になろうと決心した時には、「宇宙」を研究するか、「生命」を研究するかで、かなり真剣に悩んだ。結局は「生命」を選んだわけである。残念ながら、21世紀後半に筆者が生存している可能性は(ほぼ?)ゼロだが、もし、そのときバリバリの現役科学者だったらやってみたい研究が幾つかある。その一部を本稿では紹介する。

【Geocentric(ジオセントリック)な研究】

 宇宙開発が進むにつれて、ひとは地球以外の惑星あるいは宇宙ステーションなどで生活、あるいは移住したいという欲求が湧いてくる(一部はすでに現実のものとなっている)。そして、その欲求を実現させたいと思う。そこで必要となるのが、 ・・・続きを読む
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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

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