前後関係と因果関係の峻別、メディアで働く者の責任
2015年05月15日
「美味しんぼ」作者の雁屋哲さんの大型インタビュー記事が5月6日付け北海道新聞に掲載され、ツイッターなどで議論がわき起こっている。記事は「『鼻血騒動』に反論する」という主見出しで、「解明されていない事象を風評として片付けず、議論しよう」「表現の自由 日本人全体が萎縮しているように感じる」という脇見出しがついている。放射線の影響について悩みながら記事を書いてきた記者の1人として、雁屋さんに一言申し上げたくなった。
「鼻血騒動」とは、2014年4月に発売された週刊ビッグコミックスピリッツ掲載の「美味しんぼ」で、福島第一原発を訪れた主人公が鼻血を出し、地元の人が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」「福島はもう住めない」などと語る場面が描かれ、編集部に抗議が殺到、閣僚らからも批判が続出した事件のことだ。
その後、雁屋さんは『美味しんぼ「鼻血問題に答える」(遊幻舎)を今年2月に出版、朝日新聞は2月18日付け朝刊で雁屋さんの思いを聞いている。
朝日、北海道新聞のどちらのインタビュー記事も、伝えている中身に大きな違いはない。漫画には実際に体験したことを書いた。それなのに、タブーを破った極悪人のような扱いを受けた。疑問や不安が封じ込まれてしまう現状はおかしい。あきらめの風潮を感じる。日本人全体が萎縮しているように感じる。もっと議論しましょう。
私が一番違和感を持つのは、「実際に体験したこと」を書いたのだから批判されるいわれはないと考えておられることだ。
新米の
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