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アクティブラーニングは日本人に向いていない

日本の教育現場への安易な導入に反対する

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 5年後から開始する新学習指導要領で、生徒や学生が主体的に議論したり発表したりする「アクティブラーニング」を授業に導入する方向で文部科学省が準備を進めている。

同志社大学(京都市上京区)の自習空間「ラーニング・コモンズ」。アクティブラーニングを促す空間になっている=筒井次郎撮影

 アクティブラーニングとは、従来のような教員から学生への一方的な知識や情報の伝達ではなく、教員と学生が議論や知的な交流を通じて、学生が主体的に問題を発見し解を見出していく教授法だ。このような双方向の能動的な学びの場への関わりによって、学生に主体的に考える力を持たせ、生涯にわたり学び続ける力を身につけさせることを目的としている。

 筆者は、この目的自体には大いに同意するものの、そのための手段として、欧米で始まり、発展してきたアクティブラーニングをそのまま真似て日本に導入することには反対である。

 なぜなら、この教授法は多くの一般的な日本人の気質には適しておらず、それどころか一般的な日本人が「主体的に考える力を持ち生涯にわたり学び続ける力を身につける」ことを妨げると考えるからだ。これは、筆者が米国から帰ってきて2009年〜2014年まで教鞭をとっていた奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)やその他の国内の大学や大学院での経験から大変強く感じたことである。

 以下に、理由をまとめる。

人種や文化背景・国民性の違い

 アクティブラーニングは、

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