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NPT合意失敗は『核依存症』国の責任

核兵器禁止に消極的だった「被爆国日本」の責任も重い

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

 2015年4月27日から5月22日にわたって開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議は、最終文書に合意することができず、失敗に終わった。直接の要因は中東問題を巡る対立であったが、その背景には核保有国と非核保有国の根深い対立があった。特に今回は、「核兵器の非人道性」を巡る議論をふまえて「核兵器禁止」へ一歩踏み込もうとする非核保有国と、「核軍縮は安全保障とのバランスをとりながら段階的に進めるべき」とする核保有国(と「核抑止力(核の傘)」に依存する非核保有国)との対立が最後まで解けなかったことが、大きな要因といえる。会議の経緯等については、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の【NPT BLOG】を参照していただきたい。

拡大最終文書案への「不同意」を表明する米国代表団のゴットメラー国務次官がスクリーンに映し出されたときのNPT再検討会議会場=5月22日、米ニューヨークの国連本部、金成隆一撮影

 なぜ、最後まで対立が解けなかったのか。その根本的な要因といえば、核保有国、ならびに核抑止に依存する非核保有国に共通する「核依存症」(英エコノミスト誌、2015年5月7日号)といえるのではないか。

 まず何よりも核兵器国の責任は重たいことは言うまでもない。会議当初より、「核弾頭数は大幅に削減された」(米国)と核軍縮の成果を強調する核保有国は、NPT第6条の核軍縮義務は十分に果たしているとして、核兵器禁止条約やそれに類した「期限の設定を含む法的拘束力のある取り組み」に強く反対の立場をとった。その要因として、確かに安全保障関係の悪化、特に米・露の関係悪化などがあげられるが、米露以外の核保有国、特に中国の核軍拡、フランスの根強い独自の核戦略等が障害となった。

 しかし、さらに重要な事実として、核兵器国に共通する「核兵器の近代化(modernization)プログラム」と称する「核兵器更新」のための巨大な設備投資計画が進んでいることが重大な要因として考えられる。5大核兵器国は ・・・続きを読む
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筆者

鈴木達治郎

鈴木達治郎(すずき・たつじろう) 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授。1951年生まれ。75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士(東京大学)。マサチューセッツ工科大エネルギー環境政策研究センター、同国際問題研究センター、電力中央研究所研究参事、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2010年1月より2014年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、2014年4月より現職。またパグウォッシュ会議評議員を2007~09年に続き、2014年4月より再び務めている。

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