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経済が「脱炭素」を求めている

COP21に向け、温暖化交渉の新しい鼓動

西村六善 日本国際問題研究所客員研究員、元外務省欧亜局長

 パリでのCOP21に向けて、世界の世論が動きだした。

 一言で言えば、「どうせやるならちゃんとやろう」というダイナミズムだ。その象徴的な例は、ドイツのエルマウ城で6月上旬に開かれたG7サミットだ。

G7の拡大会合後の記念写真に納まる首脳ら=2015年6月、ドイツ・エルマウ、代表撮影G7の拡大会合後の記念写真に納まる首脳ら=2015年6月、ドイツ・エルマウ、代表撮影

 ここで首脳らは、2℃の実現に向けて国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の数値的示唆を再確認し、全球で「脱炭素」(decarbonization)に向かう決意を表明した。脱炭素とは、一定期間内に、世界のエネルギー供給システムから化石燃料を排除することで、「ネット・ゼロ」と同義だ。

 2030年にどうするかを決めるだけでは、温暖化を防止したことにはならない。やるなら脱炭素を期限内に実現しなければ、やる意味がない。この当たり前なことが、やっと決まった。欧米のメディアは歴史的なこととして報じた。こここそが肝心な切り口だからだ。

 ビジネスも大きく動き始めた。千人の世界の主要ビジネス指導者が参加して、5月後半、パリで開かれた「ビジネス・気候変動サミット」の議論は、むしろビジネスが脱炭素への急進派であることを示している。

 「世界規模の脱炭素システム」を志向する世界的産業団体、研究機関、都市連合等は多い。彼らに共通している思考は、気候の安定がなければ、経済の安定成長はないというものだ。気候の安定化には、もはや「漸進的改良主義」(incremental actions)ではダメだ。これまで通りの経済活動を続ける「BAU」(Business As Usual)は、選択肢でない。

 エネルギー経済の真の構造変革(step change)が必要で、そのために政府は、パリのCOPで2℃を実現する具体策を可視化しろ。それが、脱炭素に向かおうとするビジネスに信頼性を与える……。およそ、こういう議論であった。

 リチャード・ブランソン(ヴァージングループ)やポール・ポルマン(ユニリーバ)らで作る「The B Team」は、

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