防災の日を前に、大湧谷の活動から記憶をたどる
2015年08月31日
大涌谷の活動を振り返ると、4月26日から火山性地震の発生回数が増加し、この頃から噴気の勢いも増した。5月6日には、噴火警戒レベルが1(平常)から、火口周辺への立ち入りを規制する2(火口周辺規制)へ引き上げられ、ゴールデンウィーク中の観光地を直撃した。その後も活動は収まらず、6月30日には小規模な噴火の発生が今回の活動の中で初めて確認され、レベルも3(入山規制)へと上がり、避難指示エリアも火口域から半径1km以内に広がった。これで箱根への観光客の足は、ますます遠のく事態となった。
こうした状況が続いていた7月21日にも噴火が起こったが、それを受けた気象庁による説明は「噴火だが噴火と記録せず」という内容だったことが報道され、議論を呼んだ。気象庁の噴火の定義は「火山現象として、火口外へ固形物(火山灰、岩塊等)を放出または溶岩を流出する現象」だという。説明の意図は、この条件は満たすが、記録を残す条件は満たしていない、ということだったらしい。そもそも噴火の規模には大小があるので、気象庁は固形物の噴出距離がおおむね100~300mの範囲を超すものを噴火として記録するとした「噴火の記録基準」を決めている。ただ、記事が出るやいなやツイッターでも話題になり、「噴火じゃないの?」「論理的に矛盾している」といった戸惑いの声も目立ったそうだ。気象庁の真意はともかく、観光客の激減という社会的影響の大きさから、噴火と言いたがらない立場を取った結果だ、との見方も流れた。
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