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イラン核合意:真の成果は再処理計画の放棄だった

日本に迫られる核燃料サイクル政策の見直し

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

 ニューヨークタイムズ紙(2015年9月7日付)に「イラン核合意で話題にされないプルトニウム」という見出しの分析記事が出た。イラン核合意は主にウラン濃縮施設や能力についての交渉であったと見られているが、実は極めて重要な部分がこのあまり注目されていない「プルトニウムに関する合意」だった、という内容だ。これは、今後の核不拡散政策のみならず、日本の再処理・核燃料サイクル政策を考えるうえでも重要な意味を持つと思われるので、その内容を吟味してみよう。

 まず、イランとP5+1(中国、フランス、ロシア、英国、米国、ドイツ)・EU間で結ばれた歴史的といわれる核合意の全貌を見ると、その広汎でかつ詳細な内容に驚かされる。主な内容は主文が「A. ウラン濃縮、濃縮研究開発、在庫」「B. ARAK(重水炉と重水プラントのある地名)サイト、重水炉、再処理」「C. 透明性、信頼醸成措置」の3項目17節、これに「制裁」「実行計画」「紛争解決メカニズム」などが加わり全37項目、さらに詳細な付属文書がついて、全159頁の大作である。

 この中で最も注目されたのがA「ウラン濃縮」の項目である。P5+1側としては、濃縮能力、濃縮度、研究開発、新施設等について10~15年間限定することで、イランが核武装に十分な濃縮ウランを生産する期間(「ブレークスルー期間」と呼ぶ)を12か月以上にすることができたとしている。これが今回の核合意の最大の成果として注目された。

 しかし、専門家の見方は少し違うようだ。筆者も意外だったのが、 ・・・続きを読む
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筆者

鈴木達治郎

鈴木達治郎(すずき・たつじろう) 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授。1951年生まれ。75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士(東京大学)。マサチューセッツ工科大エネルギー環境政策研究センター、同国際問題研究センター、電力中央研究所研究参事、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2010年1月より2014年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、2014年4月より現職。またパグウォッシュ会議評議員を2007~09年に続き、2014年4月より再び務めている。

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