年末のパリでの気候変動交渉(COP21)は両国が主導する
2015年10月09日
米国が、中国の県や地方都市と関係を強化しようとしていることは注目に値する。欧州も同じことを狙っている。
なぜか?
中国のような大国のエネルギー転換は、文句なしに巨大ビジネスになるからだ。一例だが、中国の地方のエネルギー転換やエネルギー効率の拡大に関して、ソフトとハードの両面で一括受注を目指している。水事業の地域包括受注と永続的運営に似た図式で、大きなビジネスの機会があると見ている。
これはオバマ政権にとっても重要だ。議会の保守派は、温暖化防止と再エネへのエネルギー転換は、米国の成長と雇用への足枷だと主張してきた。オバマ政権は中国を抱き込むことで、米国の成長と雇用に大きなプラスになることを示そうとしているのだ。
もちろん、中国の内実やガバナンスの問題、統計の杜撰さ等、今後に向けて課題は多い。しかし中国と米国が、このような協力の精神を具体策で裏打ちしていることは、過去を知るすべての者にとって印象的だ。温暖化防止交渉に新しいダイナミズムを与えるものだ。勿論、中国がすぐに協調的になるとは思えない。途上国の盟主としての立場は維持して行くだろう。しかし、その盟主が以前よりも前向きになったことは、他の途上国にも刺激を与えるだろう。
その結果、温暖化防止の国際的作業に消極的な勢力は、従来の中国の否定的姿勢に「言い訳」を見出すことはできなくなるだろう。そういう点で、この米中合意は重要だ。もちろん、最大排出国が責任ある行動に出るのは当然だ。もっと早くから、そうすべきだった。でも、それが始まったら、その他の国も行動しなければならない。日本はいつも「全員参加」を主張して前向きな行動を手控えてきたが、
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