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「長崎を最後の被爆地に」

民生プルトニウムの生産中止も課題に:長崎パグウォッシュ会議閉幕

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

 11月1日(日)~5日(木)まで、長崎市(やすらぎ伊王島および長崎大医学部記念講堂)で初めて開催された「第61回パグウォッシュ会議世界大会」は、最終日に「長崎宣言」(英文和訳)を発表して無事終了した。

拡大「長崎宣言」を読み上げるサイデ・ロトフィアン・パグウォッシュ会議評議会議長=2015年11月5日、長崎市伊王島町、 真野啓太撮影

 大会の組織委員長として、会議開催にご協力いただいた方々に厚くお礼申し上げたい。ここでは、会議にかかわった一人の専門家として、長崎での開催、特に「長崎宣言」を中心に、今回の大会の成果やその意義について個人的見解を述べることにする。

 「長崎を最後の被爆地に」。宣言はこのキーワードから始まる。長崎の被爆者、そして市民が70年間訴え続けてきた心の叫びは確実にパグウォッシュ会議参加者に届いた。会議の冒頭に、被爆遺構を訪ね、直接被爆者(山脇佳朗氏)の英語による講話を聴いたことが、参加者の心に響き、それが冒頭にこのメッセージを持ってきたことにつながった。さらに宣言の最後にも「きのこ雲の下で起こった惨劇が深く刻み込まれたこの地から」という表現が入ったことは、「きのこ雲の下で何が起きたかを実感すること」を大きな目的としてきた本大会の一つの大きな成果だろう。

 次に、核軍縮が行き詰まり、核兵器の脅威が「今も増大している」との危機感を宣言は強調している。これは紛争の多発に加え、「核兵器転用可能な核物質の増大」も大きな原因だと考えているからだ。これが、大会中に原子力平和利用のセッションと、非公開であったが「作業部会」の議論の課題となり、最終的に「分離プルトニウムの生産は、軍事・民生にかかわらず中止すべき」という合意につながった。これが評議会の声明文にも反映されれば、評議会としても初めての強い提言となる。

 また、核兵器保有国に対しての強い要請(近代化計画の中止、核軍縮ではなく、核兵器廃絶への確約など)に加え、核の抑止力に依存する非核保有国に対しても、安全保障政策の変革を訴えた。これは、核兵器禁止に向けての世界の動きにブレーキをかけている日本政府にも当然向けられた提言である。具体的な方策として、 ・・・続きを読む
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筆者

鈴木達治郎

鈴木達治郎(すずき・たつじろう) 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授。1951年生まれ。75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士(東京大学)。マサチューセッツ工科大エネルギー環境政策研究センター、同国際問題研究センター、電力中央研究所研究参事、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2010年1月より2014年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、2014年4月より現職。またパグウォッシュ会議評議員を2007~09年に続き、2014年4月より再び務めている。

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