メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

命短き現代のIT機器:それは地球の命をも縮める

製品もサービスも「長寿命・低エネルギー消費化が最重要」原則を社会全体で共有すべき

山下哲也 エバンジェリスト、山下計画(株) 代表取締役CEO

 みなさんが今使っているスマートフォンや携帯電話は、いつ買われたものだろうか。まれに、まだ10年前のものをお使いの方もいるかもしれない。ひょっとすると、25年以上前の年代物の携帯電話をお持ちの方もいるかもしれないが、残念ながら、それはもう使うことが出来ない。なぜなら、電波の送受信を行う携帯電話のシステム側が全て更新されてしまっているからだ。日進月歩で性能改善が進む半面、大切に使ってきた愛着のある製品でも、わずかな期間で使えなくなってしまうのが現代のIT進化の姿だ。

アップルのiPadの新機種発表=2014年10月17日、宮地ゆう撮影

 気付かれている方も多いと思うが、この十数年あまり、店頭に並ぶIT機器の更新速度はすさまじい。とりわけスマートフォンやパソコンの場合、基本ソフトウェアであるOSの更新頻度と技術進化が年々加速しているため、最新機種として発売されたものもわずか1〜2年で陳腐化し、あっという間に最新OSやアプリケーション・ソフトの更新が難しくなる。

 かつての機械式時計やカメラの場合、仮に交換部品が入手不可となっていても、物理的に動作する機械のため新たに作ることが可能であり、相当長期にわたり使用し続けることができた。これとは反対に、ICなどの精密電子部品は修理することが出来ないため、故障した場合には交換する以外に方法がない。ところが、いざ交換しようとすると対象部品が入手困難となっており、新製品に買い替えた方が安く済むことが非常に多い。 もし交換・代替部品がなければ、それら電子部品の自作はほぼ不可能であるため、そこで寿命は尽きることになる。

 このように、今やほとんどのIT機器は非常に短命な消耗品と化しているのが実情だ。世代を越えて受け継がれ使い続けることができる製品は、現代のIT機器の中には存在しない。

 現代の

・・・ログインして読む
(残り:約843文字/本文:約1581文字)