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北朝鮮「核実験」にどう対応すべきか

これまでの政府間交渉の無力さ露呈、今こそ非核化に向けて民間外交を

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が「水爆実験に成功」との声明を発表したのは2016年1月6日(水)だった。各地で人工地震が探知されていたことから、北朝鮮が核実験を行ったと判断されたが、すでに報じられているように、6キロトンという推定爆発規模(韓国国家情報院発表)だと、水爆にしては「規模が小さすぎる」との観測がされている。しかし、水爆かどうか、の観測より重要なことは、北朝鮮がこの時点で4回目の核実験を行った事実である。言い換えれば、既定路線では北朝鮮の核問題が解決しないことが改めて明らかになったことが最も重要なのである。今回の核実験の持つ意味、背景、そして今後の対応について考えてみたい。

北朝鮮の核技術、核兵器能力は向上している

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 北朝鮮は、2006年、09年、13年、そして17年とほぼ3~4年に1回、核実験を行ってきた。注目すべきは、実験を重ねることが着実に核兵器能力の向上につながっていると推定できる点だ。推定爆発威力は、06年の1キロトン以下から、2~7キロトン程度(09年)、7~25キロトン(13年)と向上していた。

 今回は前回とほぼ同等であったが、もし同じ爆発威力を実験したのだとすると、3回目とは異なる核爆弾を試したかったに違いない。だとすると、声明通りの「水爆」ではなかったかもしれないが、おそらく高性能、すなわち長距離弾道ミサイルに搭載可能な「小型化」核兵器、あるいはそれに近づく核実験だったと考えることができる。

 周知のように、水爆は核融合反応を利用し、通常の原爆は核分裂反応を利用する。今回の実験は「水爆」ではないが、核融合反応を利用して核分裂反応の威力を増加させる「ブースター型原爆」の可能性も指摘されている。これでも、核兵器技術として、従来の壁を超えたものであり、「小型化」への道にかなり近づいたということができる。

 もう一つ、これまではプルトニウム型原爆であった可能性が高いが、今回は高濃縮ウラン型原爆ではなかったか、という見方もされている。通常、濃縮ウラン型原爆(広島型原爆で砲身型と呼ばれる)はプルトニウム型原爆(長崎型原爆で爆縮型と呼ばれる)に比べ、製造が容易で核実験も必要がないとされている。しかしながら、前回も濃縮ウラン型ではないか、との観測もされていたのは、 ・・・続きを読む
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筆者

鈴木達治郎

鈴木達治郎(すずき・たつじろう) 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授。1951年生まれ。75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士(東京大学)。マサチューセッツ工科大エネルギー環境政策研究センター、同国際問題研究センター、電力中央研究所研究参事、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2010年1月より2014年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、2014年4月より現職。またパグウォッシュ会議評議員を2007~09年に続き、2014年4月より再び務めている。

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