覚醒剤犯罪を減らすためにやるべきこととは
2016年02月08日
使い始めるとやめられなくなるのが、依存症という病気だ。最初は快感のために薬物を使っていたのが、やがて薬物を使わない苦痛から逃れるために使うようになる。いわゆる体が薬を求める状態である。こうなった人を薬から遠ざけるのに、刑事罰は無力だ。それは、覚醒剤で捕まる人の約6割が再犯者であるという事実を見れば容易にわかる。刑務所に入っても依存症は治らないから、再び捕まってしまうのである。
では、どうしたらいいのか。本人の回復のために粘り強く治療とケアを提供し続けることが必要だと、海外の多くの研究が明らかにしている。海外に比べて日本の取り組みは遅れている。ビッグスターの逮捕が、逮捕者を「罪人」と見るだけで「病人」と見ようとしなかった日本社会を変えるきっかけになってほしいと思う。
覚醒剤を使うのが悪いことであるのは間違いない。だが、被害を受けるのは使用者自身だ。そして、覚醒剤で捕まる人を減らしたいとは誰もが思うことだろう。それには、覚醒剤の密輸や売買行為の摘発が必要なのは当然だが、再犯者を減らす方策も大事だ。何しろ、捕まる人の6割が再犯者なのだから。そのためには捕まった人を「罪人」と見るのではなく「病人」ととらえて治療プログラムを受けてもらわなければいけない。遅れていた日本でも、司法の世界ではようやくこういう認識が共有されるようになった。
しかし、世間では「罪人」としか見ない人がまだまだ多い。たとえば2月4日付朝日新聞朝刊に載った西武の渡辺久信・球団本部シニアディレクターのコメント。「数年前から(薬物使用が)うわさには出ていたが、キヨに限ってはないと信じていた。結果的に(性格が)弱いんだろうな」と厳しく指摘した、とある。こうやって、「性格が弱い」と切り捨てることが、さらに本人を追い詰め、痛めつけ、薬に頼らずにはいられなくしてしまう。本人を責めることは「覚醒剤の使用を促し、依存症を重症化させる」(松本医師)ことに、多くの人は気づいていない。
松本医師たちは、
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