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核セキュリティサミットの読み方(上)

成果はあったが、米国主催に限界

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

 2016年3月31日~4月1日の2日間にわたり、米国が主催する最終の核セキュリティサミットが開催され、1日にはコミュニケを採択して終了した。また、日米共同声明も発表して、日本の貢献も強調した。果たして、この核セキュリティサミットの成果をどう読めばよいのか。また日本の貢献は本当に評価されているのか。直前に開催されたNGO版核セキュリティサミットでの議論を踏まえながら、「上」では全体の評価と今後の課題を、「下」では日本の再処理政策に関する課題をまとめる。

成果も上がったが、未解決の課題も

 まず、2010年から4回にわたり開催されたサミットであるが、サミットがなければ達成できなかった成果が着実に上がっている。米NGO全米軍備管理協会(ACA)の調査によると、以下のような成果がまとめられている。

拡大核セキュリティサミットの記念撮影

1) 53カ国が核セキュリティ向上のための公約を提示 2)1500kg以上の核兵器転用可能な核物質の回収もしくは削減(サミットでのホワイトハウスの発表によると、日本を含む30カ国から高濃縮ウランやプルトニウム計3・8トン以上をロシアや米国に移送) 3)10カ国が高濃縮ウランの所有をゼロに(そのうち6カ国がサミットの参加国) 4)10カ所以上の核セキュリティ訓練・支援センターの設立 5)懸念されていた2005年改正核物質防護条約の発効に必要な署名国数の達成。

 また、これらの成果に加え、個別の国がサミットに際し、「お土産(gift baskets)」として核セキュリティ貢献策を持ち込むやり方も定着した。なかでも第2回、3回のホスト国の韓国、オランダをはじめとして、カナダ、日本、カザフスタン、ノルウェー、フィリピン、スペイン、英国といった国が注目される「お土産」をもたらして、世界の核セキュリティの向上に貢献した。

 一方、オバマ大統領が自ら認めているように、課題も残された。NGO版核セキュリティサミットで、主催者の核物質ワーキンググループ(FMWG)がまとめた課題は下記の5点だ。 ・・・続きを読む
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筆者

鈴木達治郎

鈴木達治郎(すずき・たつじろう) 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授。1951年生まれ。75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士(東京大学)。マサチューセッツ工科大エネルギー環境政策研究センター、同国際問題研究センター、電力中央研究所研究参事、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2010年1月より2014年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、2014年4月より現職。またパグウォッシュ会議評議員を2007~09年に続き、2014年4月より再び務めている。

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