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袋小路の捕鯨問題

主張にこだわるより、沿岸商業捕鯨の再開を急ぐべきだ

松田裕之

 2014年、日本の南氷洋調査捕鯨は国際司法裁判所で「敗訴 」したが、日本政府は捕獲数を減らすなどの対応で、調査捕鯨を再開 した。しかし、後に詳しく述べるが、日本政府の目的は南氷洋の商業捕鯨の再開であって、調査捕鯨の維持ではない。南氷洋の商業捕鯨再開の展望は示されていない。

 鯨類はミンククジラを含む大型鯨類とイルカを含む小型鯨類に分けられ、国際捕鯨委員会(IWC)は大型鯨類の商業捕鯨を規制している。日本の排他的経済水域内の沿岸捕鯨についても、現在は小型鯨類のみ商業利用されている。

 2015年5月には日本の水族館が太地のイルカ追い込み漁で生け捕りにしたイルカを利用しているという理由で、世界動物園水族館協会が日本の協会の除名を検討した。日本の協会は表決の末に太地のイルカを使わないことを決定し、協会から離脱を検討する水族館が出た。さらに、2015年11月には、世界ジオパークの登録を申請した伊豆半島に対して、イルカの追い込み漁をやっていたことを理由に挙げて、申請が却下 された。

  日本の最大手水産会社は、過去には南氷洋の商業捕鯨を行っていたが、とうに捕鯨をやめている。半面、ツチクジラなどの沿岸捕鯨 は現在も日本で商業的に行われている。アイスランドやノルウェーなど、捕鯨を続けている国は日本以外にもある。アメリカやロシアなど先住民には、伝統的な生存捕鯨 が認められている。

拡大反捕鯨団体の抗議船=2006年6月、アイスランドで松田撮影

 私自身は持続可能な商業捕鯨が可能であり、再開してよいと思っている。日本が再開できない理由は、日本の国際感覚にも問題があると思う。

 結論から述べれば、今となっては、大型鯨類の沿岸捕鯨再開を最優先すべきである。そうでなければ、日本の商業捕鯨そのものが失われるだろう。

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筆者

松田裕之

松田裕之(まつだ・ひろゆき) 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

京都大学理学部および同大学院博士課程卒業(理学博士)、日本医科大学助手、水産庁中央水産研究所主任研究官、九州大学理学部助教授、東京大学海洋研究所助教授を経て 2003年より現職。GCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」リーダー(2007-2012)、日本生態学会元会長、日本海洋政策学会理事、個体群生態学会副会長。ヨコハマ海洋みらい都市研究会共同代表。

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