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クロマグロを守る一石三鳥の方策

産卵場の自主禁漁を日本の海洋保護区に

松田裕之 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

 2015年、太平洋のクロマグロが絶滅危惧種に指定された。クロマグロは、すしネタをはじめとする食用魚で、太平洋、大西洋、南半球(ミナミマグロ)に近縁3種がいて、どれも日本の消費量が世界一である 。国際漁業機関の分析結果を見ても、乱獲状態が続いていると言わざるを得ない。下図を見るとわかるように、1980年ころと2010年以後は、漁獲量が推定産卵親魚量に匹敵するほどである。現在は1950年代に比べて9割程度資源が減っているが、漁獲量の削減幅はそれほどではない。極めて危険な状態である。

拡大クロマグロの資源量と産卵親魚量の推定値=国際漁業機関資料より

 1980年代にもクロマグロ資源の低水準期はあったが、その後若干回復したとされる。だからと言って、今度も大丈夫という保証は全くない。クロマグロは他の浮(うき)魚(うお)類と同様、卵の生残率が環境条件に大きく左右され、加入量(0歳魚の数)の年変動が激しい。水産資源管理には変動を考慮したリスク管理が必要である。

 現在の資源水準は初期資源量の2.6%などという指摘もある。「初期資源量」(国際機関 の英語はUnfished stock biomass)とは、今から禁漁にするとそこまで増えて飽和するだろうという推定値である。この推定は非線形モデルによる外挿であり、過去の資源量を直接推定したものではない 。その推定によれば、戦前には、1952年の資源量より数倍はマグロがいたことになる。

拡大水揚げされるクロマグロ

 また、産卵期の成魚漁獲より0歳魚の漁獲が資源減少の主因であるとも言われるが、どちらも主にまき網漁業で獲っている。学者の主張は是々非々で分かりにくいが、現在のクロマグロ資源が極めて厳しい状況という認識では一致している。

 ところが、大企業の子会社 が、 ・・・続きを読む
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筆者

松田裕之

松田裕之(まつだ・ひろゆき) 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

京都大学理学部および同大学院博士課程卒業(理学博士)、日本医科大学助手、水産庁中央水産研究所主任研究官、九州大学理学部助教授、東京大学海洋研究所助教授を経て 2003年より現職。GCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」リーダー(2007-2012)、日本生態学会元会長、日本海洋政策学会理事、個体群生態学会副会長。ヨコハマ海洋みらい都市研究会共同代表。

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