メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

体力レベルに合わせた登山を!

ブームの中で山岳遭難は史上最多に

米山正寛

 初めての「山の日」(8月11日)が近づいている。近年の登山ブームを背景に、山や森を楽しむためのイベントも多く企画され、これを機会に中高年を中心とした登山やハイキングへの関心は一層の高まりを見せそうだ。

遭難は脚力と心肺能力の不足から

長野・阿弥陀岳の遭難現場から、遺体がヘリコプターで搬送された=2015年2月11日拡大長野・阿弥陀岳の遭難現場から、遺体がヘリコプターで搬送された=2015年2月11日
 山を訪れる人が増える中で、気になるのは山岳遭難の増加だ。警察庁が6月に発表した昨年1年間の山岳遭難統計を見ると、発生2508件(前年比215件増)、遭難者3043人(同249人増)となっており、いずれも統計が残る1961年以降の最高値を更新した。遭難者を年齢層別に分けると、60代(791人、26.0%)、70代(609人、20.0%)、50代(397人、13.0%)、40代(372人、12.2%)という順に多かった。山に登る中高年の増加が言われているが、遭難者の多くもこの世代が占めている。

 これらの遭難者を原因別に分けると、道迷い(1202人、39.5%)が群を抜くが、それに続くのは滑落(501人、16.5%)、転倒(467人、15.3%)、病気(232人、7.6%)、疲労(172人、5.7%)、転落(107人、3.5%)といったことになる。こうした数字を専門家の目で見ると、道迷いを除けば、転ぶ事故と心臓疾患を中心とする病気が遭難原因の多くを占めているとみなすことができるようだ。登山者の体力という点から言えば、特に中高年者で脚力あるいは心肺能力の不足がもとになり、遭難が多発している傾向が指摘できる。

 登山に必要な体力を評価するのは簡単ではないが、だいたい、どんなスポーツと同じくらいの強度かという目安は示されている。それによると、一般的な登山ならジョギングやサッカー、テニスと同等程度であり、雪山や岩山を目指すのはランニング(分速130m)やサイクリング(時速20km)などと同じくらいだ。登山は、かなりハードな運動の一つだと認識しておく必要がある。 ・・・続きを読む
(残り:約1542文字/本文:約2347文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 森林文化協会事務局長補佐

公益財団法人・森林文化協会事務局長補佐(学術、出版)兼「グリーン・パワー」編集長。朝日新聞の科学記者を経て現職。とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せ、取材活動を重ねてきた。森林文化協会は、「山と木と人の共生」を基本理念として1978年に設立された朝日新聞創刊100周年記念の財団。
森林文化協会公式サイト

米山正寛の新着記事

もっと見る