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海底資源開発への近道は環境配慮

生物多様性への影響をめぐる途上国と環境団体の思惑

松田裕之 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

 日本は国家主導で海底資源開発に取り組んでいる。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画 )」もその一つであり、主に探査段階を想定した費用対効果の高い技術開発とその国際標準化 を目指している。

海洋資源調査船「白嶺」。船上には海底を掘り進めるための掘削装置がある

 忘れてはいけないのは、公海の資源は人類共同の財産 であるということだ。海底資源開発は人々の目に見えない海底で採掘するが、開発者の勝手な開発は許されない。環境、特に周辺に固有の生態系を有する熱水噴出孔周辺の環境は未解明であり、生物多様性への影響が懸念されている。海底資源の本格的に利用には、まだしばらくの年数がかかると考えられるので、利用の仕方を厳しく制限しても、

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