ワシントン条約-市場閉鎖と資源管理、どちらが有効かを考えるときだ
2016年10月07日
アフリカゾウが象牙のために乱獲されたのは周知の通りだ。現在では個体数が比較的多い国と依然として乱獲が進んでいる国がある。前者はジンバブエやナミビアなどで(参考) 、CITESの附属書II、つまり象牙の輸出が許可制である。ただし現在、象牙の国際取引は事実上禁止になっている。後者はケニアなどで、附属書I掲載、つまり国際商取引が原則禁止されている。
この数年間でケニアなどでの密猟と主に中国での密売が増えたといわれる。そのケニアで今年4月、8000本の象牙が摘発焼却された。
CITESは国際取引の規制をする条約である。各国の象牙市場をなくせばよいと考え、今回は密猟や違法取引を助長している国の国内市場閉鎖を勧告する決議が提案され、全会一致で決議された。9月1日から10日までハワイで開催された国際自然保護連合の第6回世界自然保護会議では合法的なものも含めて象牙国内市場閉鎖を求める動議が可決されている。どちらも従う法的義務はない。
報道の多くは、中国と米国は自国の市場閉鎖に賛成で、日本が反対して孤立していると説明しているようである。この問題は、経済価値のある絶滅危惧種の保全方法を考えるうえで、典型的な事例といえる。
ちなみに、日本国内で全形象牙を売買するには登録が必要だ。規制以前から所蔵している全形象牙も登録できる。詳しくは自然環境研究センターに問い合わせるとよい。
アフリカゾウなどの保護には二つの方法がある。市場を合法化して適正管理する方法と、禁猟にして資源価値自体をなくすことである。どちらが有効かは
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください