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「もんじゅ」の使命をまっとうさせよ

宮崎慶次 大阪大学名誉教授

 原子力規制委員会は2015年11月、日本原子力研究開発機構が運営する「もんじゅ」について、別の運営主体へと移行するように、所管する文部科学省に勧告した。「相次ぐ安全上の不備に対する2013年5月の運転再開準備停止命令後にも改善がみられず、運営管理能力を欠く」との理由だ。

 安全上の核心的な不備があったのならともかく、高速炉については素人同然の規制委が、保全の不備を理由として実質的な廃炉の勧告をしたことに驚愕を覚える。改正原子炉等規制法の許可取り消し条項では、保安規定違反を理由に規制委が設置許可を取り消すことができるとしているが、この権限を利用した巧妙な「もんじゅ潰し」の意図を感じる。筆者は、当面は電力会社やメーカーの協力のもとで、以前の核燃料サイクル機構のような組織に改革・強化してもんじゅを運営するのが妥当と考える。

トラブルは実験炉の役割そのもの

 原子力発電所の安全確保は深層防護が国際的な基本概念である(下表)。核心部は3層と4層だ。「品質保障」の取り組みは主として、余裕ある設計をすることなどとともに、第1層に位置づけられる。保全計画に不備があったならば、重要度に応じて見直せば済む話である。日本原子力学会も「もんじゅ」を有効に活用し、将来の実用炉に開発につなげるように期待する見解を発表している。

拡大原子力施設の安全を確保するための基本的な考え方
 筆者は1995年の2次冷却系ナトリウム(Na)もれ事故調査、福井県の要請による安全総点検、再起動前安全審査に携わった。主に、Naもれと火災対策、蒸気発生器伝熱管の高温ラプチャー型破損の評価、品質保証体制のほかに、炉心溶融事故(第4層)についても検討し、基本的安全性を確認した。事故調査と総点検では文科省(当時は科学技術庁)の委員を務め、安全審査では保安院側で参加した。当時の文科省は経産省と密に連携していたが、今は別の様相が見える。

 そもそも「もんじゅは20年以上、トラブル続きで停止したままだ」という報道が繰り返され、人々の脳裏に刷り込まれたが、それは真実ではない。安全性総点検などの経験に基づいて振り返れば、 ・・・続きを読む
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筆者

宮崎慶次

宮崎慶次(みやざき・けいじ) 大阪大学名誉教授

1937年生まれ。専門は原子炉工学。2000年まで大阪大学教授。日本学術会議原子力工学研究連絡委員会委員、経済産業省原子炉安全小委員会委員などを歴任。1995年のもんじゅのナトリウム漏れ事故では、科学技術庁の事故調査や福井県の要請による安全性総点検、および、再稼働にあたっての原子力安全・保安院の安全審査の委員を担った。現在は大阪科学技術センター顧問。