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「自然100選」のカエデ林を襲うシカ食害

鈴鹿・御池岳のオオイタヤメイゲツ群落を守りたい

米山正寛 森林文化協会事務局長補佐

新緑の美しいオオイタヤメイゲツ群落。幸いここに枯死木は見られないが、林床には有毒でシカが食べないバイケイソウばかりが目立つ拡大新緑の美しいオオイタヤメイゲツ群落。幸いここに枯死木は見られないが、林床には有毒でシカが食べないバイケイソウばかりが目立つ
 滋賀県と三重県にまたがる鈴鹿国定公園の御池岳(1242m)山頂付近に、全国でも珍しいオオイタヤメイゲツの純群落がある。亜高山帯に育ち、貧栄養な土壌条件にも強い性質を持つカエデの仲間で、大きな木は高さ20mほどになる。その希少性から、1983年には朝日新聞社と森林文化協会による「日本の自然100選」の一つに選ばれた。ところが、この貴重な群落が5年ほど前から、増加したシカによる食害を受けて危機に陥っている。幹にネットを巻くなどの対策が一部で始まったものの、現状は予断を許さない。

 全国で広がるニホンジカの増加は、この群落のある滋賀県でも例外ではない。県内森林でのシカによる食害は2000年代に入って急増した。最近は年間1万頭を超す捕獲を続けているが、森林内では稚樹の食害や成木の剥皮被害、そして林床植生の破壊が進行している。現在は、滋賀県ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画の下、年間1万6000頭 の捕獲目標を掲げている。

樹皮を剥ぐシカ、繁茂する毒草

 そうした中で、滋賀県が御池岳のオオイタヤメイゲツ群落のシカ食害に気付いたのは2011年春のこと。成木の樹皮が大きく剥がされた痕が見つかった。翌年にはいっそうの被害拡大が見られ、枯れた木が強風によって散乱したり、根返りしたりした様子も確認された。この年に実施された調査では、ほぼ半数の木で大なり小なりの剥皮被害が見つかり、幹の直径が大きいほど被害を受ける傾向にあった。 ・・・続きを読む
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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 森林文化協会事務局長補佐

公益財団法人・森林文化協会事務局長補佐(学術、出版)兼「グリーン・パワー」編集長。朝日新聞の科学記者を経て現職。とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せ、取材活動を重ねてきた。森林文化協会は、「山と木と人の共生」を基本理念として1978年に設立された朝日新聞創刊100周年記念の財団。
森林文化協会公式サイト

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