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宇宙ステーションの物資不足救った「こうのとり」

他国の失敗直後に連続成功、日本の技術必要不可欠に

油井亀美也

うちあげ拡大無人補給船「こうのとり」を搭載し、種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Bロケット(三菱重工業/JAXA)
  昨年12月、国際宇宙ステーション(ISS)へ向け、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた日本の無人補給船「こうのとり」。天気に恵まれたこともあり、非常に美しい打ち上げでした。

  私が一昨年、ISSで「こうのとり」の5号機をロボットアームでキャプチャーした時は、各国の補給船の打ち上げが相次いで失敗したこともあり、ISSは深刻な物資不足に陥っていました。その窮地を救ったのが、日本の「こうのとり」と、それをISSへ届けた日本の管制チーム、及びそのチームワークであり、それによって宇宙航空研究開発機構(JAXA)が世界から高く評価されたことを、ご存じの方々もいるかもしれません。

  今回の「こうのとり」打ち上げでも、直前にロシアのプログレス輸送船が打ち上げに失敗していたため、多くの注目と期待が集まりました。海外からのゲストも多く見守る中での打ち上げだったのですが、特に、私は日本のロケットの打ち上げを見るのが初めてでしたから、興奮、緊張もしましたし、成功の際には感動のあまり涙が出そうになりました。

  今回も、様々な重要物資を輸送する「こうのとり」ですが、その中でも注目を集めているものの一つは、バッテリーです。ISSは秒速約8km、90分で地球の周りを1周します。ISSでは、太陽電池により発電でエネルギーを賄っていますが、太陽が地球の影に隠れる時には、太陽電池は使用できませんから、太陽が出ているうちに発電し、その一部をバッテリーに蓄えておく必要があるのです。 ISSで使用する電池は、宇宙という厳しい環境の中で充電放電を繰り返しつつも、その性能を長期にわたって保ち続けることが要求されます。その厳しい基準を満たす電池を作ったのが日本の企業であり、その電池を運ぶことができるのは、日本の「こうのとり」だけなのです。ISSは、2024年まで使用する計画ですが、それを可能にするためには、日本の技術が必要不可欠であると言えるでしょう。

バッテリー拡大国際宇宙ステーションの新たな電力源となるリチウムイオン電池(JAXA)
バッテリー拡大リチウムイオン電池を搭載した新型バッテリー(JAXA)

日本の宇宙開発技術、必要不可欠に

  このように、世界から高く評価されている日本の宇宙開発分野の技術ですが、一朝一夕に成った訳ではありません。ISS計画が始まった当初は、日本の有人宇宙開発は知識も経験も不足しており、日本が何を言っても信用してもらえなかったと聞いています。ISS最大のモジュールで、デザインが優れ高機能な「きぼう」の計画を提示した際や大型輸送船である「こうのとり」がISSへランデブーし、 ・・・続きを読む
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筆者

油井亀美也

油井亀美也(ゆい・きみや) 宇宙飛行士

1970年生まれ。防衛大学校(理工学専攻)を卒業後、航空自衛隊に入隊、パイロットとして活躍。2009年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入り、11年に宇宙飛行士に認定。15年にロシア・ソユーズ宇宙船に搭乗して、国際宇宙ステーション(ISS)に約5カ月間、長期滞在した。現在は、JAXA有人宇宙技術部門に所属し、後に続く大西卓哉、金井宣茂宇宙飛行士のミッション達成のための支援などに携わる。

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