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日本の大学はなぜ「当事者意識」が薄いのか?

「自滅」へ向かう遠因は、日本の大学の「出生の秘密」にあり

高橋真理子 朝日新聞 科学コーディネーター

 日本の大学は当事者意識が薄い-WEBRONZAで「『忙しさ』に自滅する日本の大学」(古井貞熙氏)や「日本の大学教員・研究者は『忙しい』のがお好き?」(佐藤匠徳氏)を読むと、こう感じずにいられない。これは、国立大学が法人化されたときに持ったのと同じ感想である。当時、私は朝日新聞論説委員として議論の成り行きを取材し、国立大学協会が当事者としてほとんど機能しないことに驚いた。科学革命の圏外に置かれていた日本が、明治政府の設立した帝国大学を舞台に猛然と近代科学を取り込み、ここまでよくやってきたと評価はできると思う。だが、その設立の経緯が、当事者意識の薄い大学を作ってしまった。日本の大学を「自滅」から救うには、大学関係者の発想の基礎基本を変えることこそ必要なのではないか?

 国立大学の法人化は、71年に「国立大学に自主・自立性を持たせるため公共的な性格を持つ新しい形態への法人への移行」を中央教育審議会が提案したことに端を発する。しかし、その後に検討は進まず、たなざらし状態に。それを再び表に引っ張り出したのは橋下龍太郎内閣が進めた行政改革だった。中央省庁のスリム化が主張され、政府の仕事の一部は独立行政法人という新たな組織を作ってそちらに移す方針が出された。この流れの中で、国立大学も国の組織である必要はなかろうという議論になったのである。

拡大国立大学法人法案は2003年7月9日、参院本会議で賛成多数で可決され、成立した=阿古慎一郎撮影

 99年には ・・・続きを読む
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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) 朝日新聞 科学コーディネーター

朝日新聞 科学コーディネーター。1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)などを務める。著書に『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

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