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本土が目をそらす中、辺野古の海上工事が始まった

翁長沖縄県知事の次の一手は何か

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 昨年12月20日、辺野古違法確認訴訟の最高裁判決があり、国が勝訴した。この判決を踏まえ、同月26日、翁長雄志・沖縄県知事が2015年10月13日に行った辺野古埋め立て承認取り消しを取り消したことから、辺野古の埋め立て承認が復活した。

 承認復活の翌日から工事再開に向け準備を開始した沖縄防衛局は、2月6日、辺野古での新基地建設に向けて海上の本体工事に着手した。

キャンプ・シュワブ沖に投入されるコンクリートブロック=2017年2月7日、沖縄県名護市、金子淳撮影 キャンプ・シュワブ沖に投入されるコンクリートブロック=2017年2月7日、沖縄県名護市、金子淳撮影

 汚濁防止膜を固定するために228個の大型コンクリートブロック(最大13.9トン)を投入する計画で、7日に4個、8日に6個が投入された。新基地建設に反対する市民の抗議船やカヌーを、海上保安庁のゴムボートで排除しつつの投入であった。

 沖縄県は、2014年の当初計画からブロックの大きさや個数が二転三転した経緯が明らかでないとして、沖縄防衛局に説明を求め、説明を終えるまではブロックを投下しないよう要請していた。それを無視しての問答無用の工事強行であった。

 翁長知事は、7日、県庁で記者会見し、「憤りでいっぱいだ。あらゆる手法で新基地建設を阻止すると言ってきた。撤回にかぎらず、それ以外も含めてやっていきたい」と述べた。県民も、国も、翁長知事の次の一手をかたずをのんで見守っている。

 そもそも汚濁防止膜は、これから実施する埋め立て工事(護岸工事、しゅんせつ工事)に伴う土砂の大浦湾・辺野古海域への流出を防止するものであり、本体工事の不可欠の一部である。

 仲井眞前知事が2013年12月27日に行った辺野古埋め立ての承認には、5点の留意事項が付されており、その第1項は「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」としている。本体工事には実施設計が必要であり、そのための協議を行うよう県は防衛局(国)に申し入れてきたが、国はこの間、県の要請を無視し続けている。

 ところで沖縄防衛局は、コンクリートブロック投入と並行して大型特殊船ポセイドン1を出動させ、昨年未完成だった1カ所の海底ボーリング(掘削)調査を行おうとしている。ということは、実施設計の前提となる海底地質調査がまだ終了していないということを意味する。

 まだ、実施設計について協議できる段階ではない、ということだ。にもかかわらず本体工事に着手するのだから、でたらめ極まりない。後日海底地質が判明し、当初計画では地耐力不足となって、補強工事でもすることとなれば、建設費がかさむこととなるが、そんなことはお構いなしだ。

 これまで安倍政権は、ことあるたびごとに「沖縄の負担を軽減する」、「沖縄に寄り添う」と言ってきた。しかしやることはその正反対で、沖縄はこれを「話くわっちー」(話のごちそう)と言ってきた。昨年12月20日の最高裁判決で国勝訴のお墨付きを得てからは、安倍首相も菅官房長官ももはや「沖縄に寄り添う」とは言わなくなった。

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