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林業地の大分・日田に木造ガソリンスタンド

木材需要の拡大へ、「こんな建物にも木が使える!!」

米山正寛 ナチュラリスト

 林業地として名高い大分県日田市に、木造のガソリンスタンドが登場した。発火しやすい危険物を扱うスタンドが、木造で建てられたのは、どうやら全国でも初めてらしい。スタンドを経営する日田石油販売のオーナーである瀬戸亨一郎さん(56)は、日田の木材の総合窓口となっている日田木材協同組合の理事長という立場でもある。「こんな建物にも木が使える!!」と示すためのいわばショールームに、自らのスタンドを仕立て上げた形だ。「木材の需要拡大を図って林業を振興させるには、こうした新たな利用形態を広げていく地道な努力が欠かせない」。そんな思いの表れとなっている。

完成したガソリンスタンド。2階建ての建物が木造だ完成したガソリンスタンド。2階建ての建物が木造だ
建築中の様子。建物の骨組みがすべて木であることがわかる
=写真はいずれも瀬戸亨一郎さん提供
建築中の様子。建物の骨組みがすべて木であることがわかる =写真はいずれも瀬戸亨一郎さん提供

低迷する林業地

 四方を山に囲まれた盆地に、筑後川の支流である三隈川などの流れが霧を呼び、湿潤な自然条件に恵まれた日田市。ここには500年以上前の1491年、スギが人の手で植栽された歴史がある。江戸時代になるとスギを挿し木苗で増やす技術が伝わり、植林が奨励された。明治~昭和初期には木材の搬送や加工などについても様々な機能が高まり、林業地としての名声が定着した。

 だが戦後、輸入が自由化された外国産材の台頭もあって、国産材の価格や消費は1970年代をピークに低迷期を迎えた。さらに、木造住宅の建築工法も変化して柱を壁の表に出さない建築が広がり、立派な木を育てても付加価値として認められなくなってきた。かつて高価で取引された銘木や役物と呼ばれる材の需要は失われ、絞り丸太で有名だった京都・北山など、有名林業地の衰退につながっていった。

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