メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

名護市安部沖事故が示すオスプレイの新たな欠陥

米軍の訓練再開を伝えるだけの日本政府に、地元は怒り心頭

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 昨年12月13日夜に名護市の東海岸安部(あぶ)沖に米海兵隊普天基地所属のオスプレイMV22が墜落した。夜間の空中給油訓練中の事故であった。

大破したオスプレイの機体の切断作業をする米軍関係者ら=2016年12月16日、沖縄県名護市、関田航撮影 拡大大破したオスプレイの機体の切断作業をする米軍関係者ら=2016年12月16日、沖縄県名護市、関田航撮影

 機体の残骸の回収が終わらず墜落事故の原因究明がなされないまま、6日後の12月19日に飛行が再開され、1月6日には空中給油訓練も再開された。この事故でオスプレイの新たな構造的欠陥が明らかになるとともに、防衛省は米軍の訓練再開の発表をそのまま伝えるだけで、沖縄県民の安全を確保する意思も能力もないことが明らかとなった。

オートローテーション機能の欠如

 オスプレイは開発段階で30人が死亡した。

 「未亡人製造機」と呼ばれ、その危険性が広く知られている。最もよく知られているのはオートローテーション機能の欠如である。ヘリコプターには、エンジンが止まっても、機体が降下する際に下からの気流を利用して回転翼(ローター)を回し、揚力を得て比較的ソフトな着陸ができる機能がある。これがオートローテーションである。

 ところが、ヘリと飛行機のいいとこ取りをしたといわれるオスプレイは、ヘリに比べてローターが小さく、かつ機体が重いため、オートローテーション機能が欠如している。航空法第10条が定める耐空証明が取れず、民間機であれば同法第11条により飛行が許されない。海兵隊や自衛隊(17機の購入と佐賀空港への配備が計画されている)のオスプレイが飛行できるのは、航空特例法や自衛隊法で、航空法の多くの条項が適用除外となっているからである。軍用機に関しては軍事目的が優先し、空の安全が軽視されているのである。

ハワイ事故が明らかにした構造的欠陥

 オスプレイにはほかにも重要な構造的欠陥がある。

 それを明らかにしたのが、2015年5月17日のハワイのオアフ島のベローズ空軍基地での海兵隊オスプレイMV22の着陸失敗による2人の死亡と20人の負傷事故である。

 オスプレイはヘリに比べれば重い機体を、ヘリより小さいローターで飛ばさなければならない。そのため、ローターの回転数を上げる必要があり、離着陸の際、通常のヘリの4倍の風速の下降気流が地面を叩きつける。これがほこりや砂を舞い上げ、エンジンがそれを吸い込んでタービン翼に固着する。それが揚力を失わせ、着陸失敗となったのである。

 たとえ墜落事故を起こさなくとも、低空飛行訓練を繰り返すオスプレイの高熱下降気流は、世界自然遺産登録に値するといわれているやんばるの自然に致命的な悪影響をもたらすことは間違いない。

今回の事故で浮上した新たな危険

 今回の墜落事故は、空中給油の際に事故を起こす可能性が非常に高いというオスプレイの ・・・続きを読む
(残り:約1950文字/本文:約3051文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

桜井国俊の新着記事

もっと見る