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夜間飛行訓練に実効性ゼロの騒音規制措置

沖縄の基地をめぐる米軍の開き直りと、日本政府の怠慢さ

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 4月7日付の琉球新報社会面は、「普天間、6日連続深夜飛行」「協定違反ない」「米軍、訓練優先を正当化」と、普天間飛行場周辺での午後10時以降の航空機騒音問題を、大きく報じている。日米両国政府は、1996年、負担軽減策として嘉手納飛行場と普天間飛行場の航空機騒音規制措置を定めたが、この規制措置は実効性ゼロであり、際限のない夜間飛行訓練は人々の安眠を奪っている。

騒音規制措置の内実

 航空機騒音規制措置は、両飛行場周辺での激しい航空機騒音に悩む県民の強い要望により、ようやくなされた合意であったが、県、関係市町村が求めていた午後7時から翌朝午前7時までの間の飛行制限については、午後10時から翌朝午前6時までとされるなど、合意の当初から地域住民の声が反映された措置とはなっていなかった。

拡大住宅地に近接する米軍の普天間飛行場。オスプレイがずらりと駐機する
 導入されたはずの夜間の飛行制限も、実態はザルであった。規制措置は、午後10時から翌朝午前6時の間の飛行について「米国の運用上の所要に必要と考えられるものに制限される」とし、「夜間飛行訓練は、在日米軍に与えられた任務を達成し、または飛行要員の練度を維持するために必要な最小限に制限される」としているが、逆に言えば「運用上の所要に必要である」あるいは「飛行要員の練度の維持に必要である」と基地司令官が判断すれば、何ら規制措置違反ではないということになる。

 昨年12月13日、夜間空中給油訓練中であった普天間飛行場配属のMV22オスプレイが名護市安部沖で墜落したが、翌年1月6日、残骸の回収と墜落原因の究明が終わらないまま給油訓練が再開された。それは、「戦地では夜間の作戦が不可欠」、そのためには「夜間給油の練度維持が不可欠」という軍の論理が、県民や兵士の命よりも優先することを如実に示したものだった。

諸悪の根源、日米地位協定

 問題の根底には、1960年の制定以後、一度も改定されていない屈辱的な日米地位協定がある。イタリアでは米軍の活動はイタリア軍司令官の管理の下にあり、ドイツでは1993年締結のボン補足協定に基づき、米軍はドイツ政府の許可の下に活動することになっている。

 一方、日本では主権が放棄され、判断するのは米軍基地の現地司令官である。6日連続の深夜飛行について問い合わせを受けた米海兵隊は、琉球新報に「春から夏にかけては日中の明るい時間が長くなる。暗闇の中で実施する必要がある訓練の時間は遅くなる」と回答し、午後10時以降の訓練を正当化したのである。

 このように開き直る米軍も問題であるが、開き直れる状況をつくっている日本政府こそが問題である。

拡大嘉手納基地を飛び立つ米海兵隊攻撃機AV8ハリアー
 基地騒音問題についての日本政府の怠慢さを示すものとしては、「日本環境管理基準」に騒音の項が欠如しているのを放置していることも、指摘しておかねばならない。在日米軍による環境保護及び安全のための取り組みは、日米両国または国際約束の基準のうち最も保護的なものを採用して、在日米軍が作成する「日本環境管理基準」に従って行われることとされている。

 だが、「日本環境管理基準」では、2001年10月の改定で「騒音」の章が削除されたままになっている。2016年4月21日に更新され、在日米軍のHPで発表された2016年版においても、「騒音」の章は削除されたままだ。

普天間飛行場における騒音問題

 普天間飛行場に限定し、騒音問題や墜落の危険性について見てみることとする。

 普天間飛行場は宜野湾市の中央部に位置し、市面積の約25%を占める。2800mの滑走路があり、墜落事故をくり返すMV22オスプレイや、大型ヘリのCH53などが常駐する。普天間飛行場の海兵隊は、 ・・・続きを読む
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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

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