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スマホは人と環境に優しいか?

環境経済学から見た原料、生産、使用、廃棄・リサイクル

吉田文和 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

 アップルが9月12日、スマートフォン「アイフォーン」の最上位機種「X(テン)」を発表した。価格は11万円台である。スマホは2007年の誕生から10年が経過した。

 世の中、老いも若きもスマホから手が離せなくなり、電車に乗れば、皆がスマホを使い、「一緒にいてもスマホ」という状況になってきた。

iPhoneⅩを発表する米アップルのティム・クックCEO=カリフォルニア州クパチーノ、宮地ゆう撮影 拡大iPhoneⅩを発表する米アップルのティム・クックCEO=カリフォルニア州クパチーノ、宮地ゆう撮影

 携帯電話からさらにスマホ利用が広がっているのは、スマホの機能が次のように拡大しているからである。

・パソコンと同じようにインターネットを利用できる。

・デジカメのように写真や動画を撮ることができる。

・音楽を聴き、ラジオも聴ける。

・現在地や地図を示し、目的地への行き方を探せる。

・暮らしに役立つアプリが使え、支払いもできる。

 情報の検索のみならず、ツイッターやフェイスブックなど情報発信もでき、タクシーの予約、民宿予約など、「シェアリング・エコノミー」の便利な手段としても使われるようになった。市民の交流や意見交換の形成にも重要なツールとして使用されている。

 このように、スマートフォンは、その前身の「携帯電話」から著しく機能の進化をとげた。今や、「手のひらにのるパソコン」としての多機能を持つ。とくに、アップルのアイフォーンなどは、使い勝手の良さ、便利さが評価されて、普及しているところが重要である。

 製品としてもスマートフォンは、1千個以上の部品からなり、心臓部の半導体から、カメラ、ディスプレー、バッテリーなど、小型化した高性能品の集約物となっている。物品としてのスマートフォンは、多様な金属と化学物質の結合品であり、「モノ」として捨てれば、有害廃棄物となりうる。

 廃棄と同時に、使用の問題として、「スマホ依存症」「スマホ漬け」の問題が、とくに若い世代で深刻であり、対策が必要なところである。そればかりでなく、電池の発火問題や、部品の半導体の生産の際に、白血病などの労働災害問題が、スマートフォンのトップメーカーである韓国のサムスンで発生している。

 また、携帯電話の使い過ぎによる発がんリスクも指摘されている。 ・・・続きを読む
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筆者

吉田文和

吉田文和(よしだ・ふみかず) 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

1950年生まれ、兵庫県出身、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。北海道大学大学院経済学研究科教授を経て2015年から現職。北大名誉教授。専門は、環境経済学、産業技術論、主著『ハイテク汚染』岩波新書、『環境経済学講義』岩波書店、最近は低炭素経済と再生可能エネルギーの普及に関心を持つ。札幌郊外の野幌原始林の近くに住み、自然観察と散歩を趣味とする。

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