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「電子工作好きっ!」女子たちの楽しい世界

デバイス普及、情報共有、笑顔あふれる発表会……広がるつながり

伊藤隆太郎 朝日新聞記者(科学医療部)

 男の子たちの楽園……のはずだった「電子工作」。その領土に、女子たちが進出している。20〜30代の女性たちにいま、電子工作がブームだ。

原宿の夜に「IoT女子会」

 11月2日夜、東京・原宿。ファッショナブルな若者たちが行き交う明治神宮前の交差点に近い会場で、「IoTLT女子会」と銘打った集まりがあった。「IoT」はInternet of Things の略語で、すべてのモノや製品がネットにつながっていく技術的な潮流を意味する言葉だ。「LT」はLightning Talk と呼ばれる発表形式のことで、5分きざみなどの短い間隔で登壇者が次々と意見や成果を紹介していく。

拡大発表する永井里奈さんと、製作した電子工作
 会場をうめた女性たちを前に、発表者の永井里奈さんが「留守中の自宅のセンサーデータを外出先から確認する」という工作を披露した。各種センサーを超小型PCにつなぎ、クラウドサービスを使ってグラフ化した検出データを外出先から自分のスマホで見るしくみだ。

 プログラムは「Node-RED」というオープンソースで書いた。当初は各種データをいくつもグラフ表示するかっこいい画面も準備したが、「えへへ、作れませんでした」。会場からは温かい拍手と笑い声。発表画面には、照れ笑いする顔文字(^q^)が映し出された。

 結局、グラフ表示は1個だけになったものの、立派に動作している。まずは人感センサーを付けて、不審者を検出できるようにした。「今後は、湿度センサーや傾斜センサーなども組み合わせて、『カビ発生注意』とか『窓の閉め忘れ』を通知するなど、楽しんでいきたい」と永井さんは話す。

センサー付きのイヤリングや指輪

 テレビ番組「恋のから騒ぎ」などに出演していたタレントの夏波夕日さんも登壇し、きれいな手作りの指輪とイヤリングを披露した。こちらもまだ製作途上だが、「指輪には、血中酸素飽和度を計るパルスオキシメーターという装置のセンサー部分を埋め込んで、おしゃれに身につけられるアクセサリー型の健康器具にしたい」と、構想を広げている。

拡大夏波夕日さんが製作中のセンサー入り指輪
 どこまで小形化できるかが課題だ。大田区の町工場を訪ね、アドバイスを得ているという。「世のなかのオジサマたちが作っている健康器具って、ちょっとダサくて、身につけて歩く気がしない。もっとセンスのあるデザインなら、広がるはずなのに」。将来はメーカーに提案して製品化したいそうだ。イヤリングは小型マイクなどを入れて補聴器にする計画だという。

 会場から質問が出る。「でも、バッテリーはどうするの?」。きっとあの場にいた全員が、頭のなかいっぱいに浮かべた疑問符だろう。「そうなんです、そこが問題で!!」。ここでも温かい拍手と笑い声が。へえ、これが女子会ってこと? 終始、楽しく和やかな時間が続いた。

なぜいま女性に電子工作ブーム?

 こうした女性たちの集まりが、各地にある。ワークショップも盛んだ。なぜいま彼女たちに「電子工作」がブームなのか。いくつもの背景の重なりが考えられる。

1. 電子デバイスが小型化し、アクセサリーなどを作りやすくなった
2. アナログ回路と比較して、おおむねデジタル回路は工作が容易
3.「Arduino」や「Raspberry Pi」といった安価なIoT基礎製品が登場
4.「GitHub」や「Qiita」など開発者向け情報共有サービスが普及
5. 企業の技術部門に配属される女性が増え、知識を趣味にしている

 このうち、Arduino(アルドゥイーノ)とは ・・・続きを読む
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筆者

伊藤隆太郎

伊藤隆太郎(いとう・りゅうたろう) 朝日新聞記者(科学医療部)

1964年、北九州市生まれ。1989年、朝日新聞社に入社。筑豊支局、西部社会部、AERA編集部などを経て、2016年から科学医療部。

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