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内臓脂肪にこだわる現在のメタボ健診に異議あり

置いてきぼりになる「太っていないけれどリスクの大きい人たち」

大島明 大阪国際がんセンターがん対策センター特別研究員

拡大メタボ健診の腹囲測定
 いわゆる「メタボ健診」は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を生活習慣病の予備軍ととらえて、へその位置の腹囲や、身長と体重から計算される体格指数(BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が基準を超えた人に生活習慣の改善などの保健指導(特定保健指導)をする制度である。

 2008年4月から開始され(第1期:2008~2012年度、第2期:2013~2017年度)、第3期からの方針を示す「標準的な健診・保健指導プログラム(案)【平成30年度版】」が2017年10月に公表された。これを読み、制度が始まる以前からそして開始以降も多くの問題点が指摘されてきたにもかかわらず、特定保健指導の対象者の選定基準が従前どおり維持されていることに驚いた。太っていなくても生活習慣病のリスクの高い人たちはいる。そういう人たちにも保健指導がなされるように、基準を変えるべきだと考える。

結論が違った厚労省の二つの検討会

 平成30年度版のプログラムの作成に当たっては、厚生労働省健康局の「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」(以下健康局検討会)と厚生労働省保険局の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(以下保険局検討会)が議論を重ね検討してきた。焦点は、現状では特定保健指導の対象にならない「太っていないけれどリスクの高い人」にどう対応するか、だった。

 健康局検討会では「新たに蓄積された科学的知見を踏まえて、特定保健指導の対象とならない非肥満の危険因子保有者への保健指導の方法を整理し、標準的な健診・保健指導プログラムに記載することとしてはどうか」(2016年11月8日第8回検討会)とした。

 一方、保険局検討会では「内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目した現行の特定保健指導対象者の選定基準を維持する。腹囲が基準未満でリスク要因(血圧高値、脂質異常、血糖高値)があるものは特定保健指導の対象とはならないが、これらの者への対応等は重要な課題であり、引き続き検討を行う」(2017年3月第28回検討会)と、現状維持の結論を出した。そして、公表された平成30年度版のプログラム(案)では、保険局検討会のまとめ通り、特定保健指導対象者の選定基準は従前どおりとなった。

内臓脂肪にこだわることの有効性に「証拠なし」

 そもそも、 ・・・続きを読む
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筆者

大島明

大島明(おおしま・あきら) 大阪国際がんセンターがん対策センター特別研究員

1966年大阪大学医学部卒業、1967年大阪府立成人病センター調査部就職、1996年同調査部長、2007年3月定年退職。専門は、がんの予防、がんの疫学。地域がん登録全国協議会理事長(1998-2006年)、日本禁煙推進医師歯科医師連盟会長(2003-2015年)を務めた。

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