専用探査機TESSの打ち上げで迎える「観測の新時代」
2018年05月07日
米国のマサチューセッツ工科大学が主導するNASA太陽系外惑星専用探査機TESS(テス)が、日本時間の2018年4月19日午前7時51分に打ち上げられた。すべて順調に進めば6月中には観測が始まる予定である。約2年間の観測期間中に、地球から300光年以内にある比較的近傍の恒星20万個をモニター、1600個の惑星(そのうち、地球半径の2倍以下の岩石惑星が500個)の発見が期待されている。いよいよ系外惑星研究の新時代の幕開けである。
トランジット法とは、中心星の前面を惑星が通過(トランジット)して一部を隠す際に、その星が少しだけ暗く見えることを利用する惑星検出法である。原理としては日食と同じなのだが、系外惑星系の場合は遠いため惑星の影の形は検出できないし、そもそも中心星がわずか(0.01〜1パーセント程度)暗くなるだけである。そのために、精密な観測には大気の影響がない宇宙望遠鏡が必要となる。地球から見て惑星がトランジットを起こす公転軌道面にある幾何学的確率は高くないため、発見数を稼ぐには多数の恒星を同時にモニターする必要がある。そのための専用宇宙望遠鏡がケプラーであり、その後継機たるTESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite:トランジット系外惑星探査衛星)なのである。
さて、ケプラー打ち上げ当時には、恒星が惑星をもつ割合などの基本的な統計データが不足していた。そのために、ケプラーチームは、はくちょう座の方向のごく限られた領域にある星だけに絞り3.5年間もの長期間継続モニターする方法を選んだ。これは全天のわずか0.25パーセントの面積に過ぎない。しかし、比較的大きな口径1.4メートルの望遠鏡を搭載したおかげで、3000光年以内にある星を観測することが可能となった。つまり、「狭く遠くを長時間モニターする」戦略が採用されたのだ。
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