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溶け落ちた核燃料は果たして取り出せるのか

ロボット等による調査で1~3号機の状況は見えてきたが、困難さも実感した

米山正寛 朝日新聞DO科学編集長

 東京電力の福島第一原発を朝日新聞科学医療部の同僚たちと視察した報告を続けよう(前回は5月29日付)。

 2号機の格納容器内部調査で撮影された容器底部の画像が、今年1月と4月に東電より公開された。4月の画像は、1月の調査時に撮影したものを鮮明化し、内部の空間の様子がわかるように処理したものだという。4月27日朝刊の朝日新聞記事は「原子炉の真下にあたる容器の底部では、支柱や壁に溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる残骸がこびりつき、床一面に厚さ40~70センチほどの溶融物が降り積もっていた。底部の全体像がわかるのは初めて」と伝えた。

2018年1月20日付の朝日新聞記事。図で、丸く描かれた原子炉格納容器に作業員が棒を入れている所が「X6ペネ」にあたる拡大2018年1月20日付の朝日新聞記事。図で、丸く描かれた原子炉格納容器に作業員が棒を入れている所が「X6ペネ」にあたる
2018年4月27日付の朝日新聞記事拡大2018年4月27日付の朝日新聞記事

 このような映像による格納容器内の状況把握は、今後の廃炉作業に向けて、炉心溶融によって生じたデブリの量や状態を知り、取り出し手法を検討するために実施されている。だが、原子炉建屋内は配管や機器などが縦横に設置された複雑な構造になっている。1970年代に建設された福島第一原発内部の作業スペースは、最近の原発ほどは広く確保されていないとも聞いた。放射線量が高く、容易に人が立ち入れない格納容器内部を、どのように調査してきたのか。今後の取り出し戦略をどのように構築していくのだろうか。

格納容器内部調査を5号機で疑似体験

 東電にとって、溶け落ちた核燃料の取り出し戦略の構築は大きな課題だ。その課題を少しでもスムーズに進めようと、東電は、震災時の損壊を免れた福島第一原発の5~6号機の運転再開を諦めて廃炉とする代わりに、廃炉研究の実証試験に活用することを検討している。また同原発2~5号機は基本的に同じ構造であるため、特に5号機はロボットが事故機のデブリに接近して調査するイメージを、実物大で疑似体験できる場所ともなっている。私たちも事故で損壊した1~4号機は外観を見るにとどまったが、調査の様子の理解を助けるため、防護服姿になって5号機へと入っていった。そして、現場を思い描きながら説明を聞き、その困難さを改めて実感することになった。

5号機の原子炉直下にある作業用足場で、東京電力の担当者(左)から格納容器内部調査の様子を聞いた=5月24日、松尾一郎撮影拡大5号機の原子炉直下にある作業用足場で、東京電力の担当者(左)から格納容器内部調査の様子を聞いた=5月24日、松尾一郎撮影
 5号機は震災当時、定期検査中で運転を止めていた。1~4号機と同じく電源喪失に陥ったが、隣接する6号機の非常用ディーゼル発電機が動いて5号機にも電力を供給したので、原子炉内にあった核燃料の冷却を続けることができた。福島第一原発を襲った津波の高さは、14~15メートルほどだったとされる。危機的状況の中でこの非常用発電機が動いたのは、 ・・・続きを読む
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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 朝日新聞DO科学編集長

朝日新聞科学医療部記者兼DO科学編集長。朝日新聞の科学記者を経て公益財団法人森林文化協会へ出向し、事務局長補佐兼「グリーン・パワー」編集長を務めた。2018年4月から現職。ナチュラリストを夢見ながら、とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せて取材活動を続けている。

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