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猛暑と太陽活動の関係は?

むしろ寒冷化が心配、めったに起きないスーパーフレアの対策も必要

柴田一成 京都大学大学院理学研究科附属天文台教授

太陽活動に異変が起きているのか?

 猛暑である。8月2日の朝日新聞朝刊によると、「月平均気温は1946年の統計開始以来、東日本で過去最高となった・・・気象庁は7月の天候について『異常気象だった』 との認識をしめした」。太陽活動が何か異変を起こしているのではないか? 最近、多くの人からこんな質問を受ける。

拡大図1:黒点数の変動と氷河の量や平均気温の変動。=柴田「太陽大異変」(朝日新書、2013)より
 先に結論を述べよう。最近の猛暑に、太陽活動の変化はほとんど関係ない。過去数千年の太陽黒点数と気候変動の関係に関する経験データに基づくと、黒点数が極めて少なくなる「大極小期」と呼ばれる時期には地球は寒冷化し、逆に黒点数が多くなる「大極大期」には地球は温暖化することが知られている(図1)。ただし、その物理メカニズムはまだわかっていない。

 図1を見ると大極小期も大極大期もそれぞれ50~100年というような時間スケールで継続し、数百年に一回くらいのペースで繰り返し起きていることがわかる。1640年~1710年の期間のマウンダ―・ミニマムの場合、地球全体の平均気温が約0.6度低下した。今では決して凍らないロンドンのテムズ川が、当時毎年凍っていた。20世紀以後の地球温暖化は100年間に0.6度程度の上昇なので、マウンダ―・ミニマムの寒冷化の方がもっと変化が速かったと言える。

いまは黒点数の少ない時期

拡大図2:最近400年間の黒点数の変動。1980年ころから黒点数がどんどん減少していることがわかる。ここしばらく(~30年間くらい)は、200年前のダルトン・ミニマム(地球平均気温が0.3度程度下がったと言われる)の再来になるかもしれない。=一本潔氏より
 では、現代はどうなのだろうか? 実はこの10数年の太陽は100年に一度くらいの黒点数の少ない時期となっており(図2)、どちらかというと、温暖化よりも寒冷化の方が心配だ。

 黒点数というのは、約11年の周期で増えたり減ったりすることが知られている。しかし11年くらいの短期変動では、地球全体の気温への影響は見えてこない。数十年~数百年という長期変動でようやく地球の気候への影響がわかる。

 11年の黒点数変動で地球に影響を及ぼす可能性は、気温ではないところにある。黒点数が多くなると、 ・・・続きを読む
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筆者

柴田一成

柴田一成(しばた・かずなり) 京都大学大学院理学研究科附属天文台教授

京都大学大学院理学研究科博士課程中退(理学博士)、愛知教育大助手・助教授、国立天文台助教授などを経て1999年より現職。太陽と宇宙における様々な爆発現象の謎を、電磁流体力学を用いて統一的に解明する研究を推進。近年は太陽フレア、宇宙天気予報の基礎研究から、太陽型星のスーパーフレアという驚くべきテーマにたどりつく。