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番号制なき所得制限はおかしくない?

一色清

一色清

 2011年度の予算編成が一段落しました。一段落といいますのは、まだこのまま国会で成立するのかどうか、不透明なところがあるからです。でもまあ、今回の予算編成は、意外にスムーズに言った印象があります。消費税引き上げ議論が封印されているため、社会保障改革などの難題は先送りされています。このため、大議論がなくて、結局、チマチマとどこからお金を持ってくるかが議論の中心になったことから、スムーズな印象が生まれたのかと思います。

 でも、本当は大議論が必要だったのに、まったく議論が起こらずに進んでいった問題があります。それは、あちこちで「所得制限」が出てくることです。たとえば、所得税の給与所得控除は年収1500万円が上限になってそれ以上は控除額が横ばい、一部の人は減るようになります。成年扶養控除は年収568万円を超える人は廃止になります。また、先送りになりましたが、配偶者控除や子ども手当の支給にも、所得制限を設けようという議論が出ていました。

 高額所得者により大きい負担をしてもらおうという議論の方向性はやむを得ないものだと思います。所得税の最高税率は1986年までは70%だったのですが、今は40%です。バブル崩壊による景気対策や、頑張った人にはそれなりの果実がないと社会は活性化しないという新自由主義的な考え方から、高額所得者の負担が以前より軽くなってきたことは否定できません。

 ですから、消費税論議が封印されている中で、何とかお金を絞りだそうとすると、高額所得者から少し多めに税金をいただこう、あるいは手当を減らそうと考えても筋の通らない話ではありません。

 ただ、私は、

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