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エコなEV普及にひそむ5年後の「落とし穴」

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 日産が「リーフ」を、三菱自動車が「i-MiEV(アイミーブ)」を一般向けに発売した昨年はEV(電気自動車)元年と言われた。売れ行きは好調だが、技術者たちの心配は別のところにある。

 リチウムイオン電池は年々性能が劣化し、5年後には70-80%にまで落ちる。メーカーの保証も5年(または10万キロ)で切れるので、事実上、5年目あたりが車の買い換え時期になる。問題は高価な使用済み電池を再生・再販売する仕組みを作れるかどうかだが、技術的にはいまだ基礎研究の段階だ。経済性の見通しがはっきりしないまま販売に踏み切ったEV。このままでは5年後に改めて存在意義を問われることになりそうだ。

 筆者は昨年秋、発売前のリーフに体験試乗させてもらい、その静けさとスタート時の加速のすごさに驚いた。工業製品としての完成度は高い。価格は376万円と高いが、それはリチウムイオン電池が車原価の半分を占めるほど高価なせいだ。国が78万円の補助金を出し、自治体も上乗せして、やっと消費者が買える価格になる。

 蓄電池とモーターがあれば動くと言われるEVにとって、

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