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黒田日銀への期待と懸念

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 黒田東彦前アジア開発銀行総裁が日銀総裁に就任した。戦後、山際正道、森永貞一郎、澄田智、松下康雄など大蔵省(現・財務省)から日銀総裁に就任した例はあるが、全員が大蔵事務次官経験者。主計局や銀行局を経て次官に就任し、日本輸出入銀行総裁や東京証券取引所理事長などを経て日銀入りしたのだった。

 これに対し、黒田東彦氏は国際金融局長、財務官を務めた国際派。若い時からオックスフォード大学留学、IMF出向と国際派としての経験を積んでいる。グローバリゼーションが拡大する中で日本銀行総裁も国際的経験や人脈が必要になってきたということなのだろう。

 日本の金融政策も為替市場などを通じて強い国際的インパクトを持つし、また総裁が出席しなければならない国際会議も増加してきている。アジア開発銀行の総裁を8年以上も務めた黒田はまさに国際化時代の総裁適任者だといえる。

 黒田新総裁は国会答弁などで資産買い入れの規模や対象を拡大し、

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