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ウェアラブルでも後れを取る日本――しかし、巻き返しはできる

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 眼鏡型にウォッチ型と、ウェアラブル端末のニュースが相次いでいる。デスクトップからモバイルに進化してきた端末は、ウェアラブルへの動きを加速。「この2~3年が勝負時」と専門家は見るが、今回もニュースの主役は「グーグルグラス」(写真下)、アップルの「iWatch」、サムスンの「ギャラクシーギア」といった海外勢だ。スマホやタブレットと同じように、日本のエレクトロニクス産業は又も後塵を拝するのだろうか。

 結論を先に言えば、日本勢にも巻き返しのチャンスはある。必要な要素技術は専用チップ、通信チップ、センサー類、パワーデバイスなどで、スマホ用に供給している部品を流用すればこと足りる。後は、あっと驚く面白い発想力があるかどうかだ。

 実際、ソニーやエプソンだけでなく、中小企業やベンチャー企業が続々名乗りを上げ、製品を発表している。眼鏡の一大産地である福井県鯖江市のように、地域挙げてウェアラブル開発の拠点づくりを進める動きもある。意気消沈しっ放しの大手電機メーカーを尻目に、新しい勢力が底力を出している。

 フェイスブックなどソーシャルメディアの発達で、ベンチャー企業でも面白い製品なら世界中で大量販売することが可能な時代なのだ。IT性能とデザインで勝負するウェアラブルはネット直販とは相性がいい。

 いま日本の部品・素材メーカーには、グーグルやアップルから密かに大量の電子部品の引き合いが来ている。日本人はウェアラブルの普及にまだ懐疑的だが、海外勢は本気だ。「注文を見る限り1,2年中に数百万台から数千万台規模の販売が予測できる」と業界関係者は言う。

 2020年の東京五輪には、ウェアラブルを装着した観客が世界からどっと押し寄せそうだ。例えば球技会場では、観客は選手情報やスコア、ボールの軌跡やショットの判定、選手の状態、専門家の解説などを、現実の試合と同時に

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