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政治家の質の低下 閣僚19人のうち11人が世襲という異常

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 安倍晋三首相は9月の内閣改造に向けた動きを本格化させている。

 そんななか思い出されるのが、『新潮45』が数カ月前、「政治家たちの耐えられない軽さ」というタイトルで現在の日本政治の質の低下を指摘していたことだ。竹内洋は「反知性主義」が日本の政治家を覆っているとし、麻生太郎の漢字の読み違えや大衆漫画好きをその例として示していた。

 たしかに、池田勇人、佐藤栄作、大平正芳等のかつての総理大臣と比べるとこのところの総理大臣の知性や教養は相対的に低くなっているといえるのかもしれない。

 前尾繁三郎や大平正芳は大変な読書家で、京都府宮津市にある「前尾記念文庫」には前尾の蔵書3万5千冊収められているというし、大平も、また、大変な本好きだったという。

 たたきあげで高等小学校しか出ていなかった田中角栄でさえ、若いときに「読書が無性に好き」で新潮社の雑誌の懸賞小説に「三十年一日の如し」を応募して、5円の賞金をもらい、これで小説家になれるかもしれないと喜んだという。

 麻生太郎や安倍晋三がどれだけ読書をするか筆者は知らないが、彼等はいずれも世襲政治家で、必死になって勉強をして大学に入ったということではないようだ。

 安倍は小学校から中学・高校・大学まで成蹊大学だし、麻生も学習院初等部に三年の時編入して以来、大学まで学習院だ。早い時期の世襲政治家である羽田孜(父羽田武嗣郎は自民党衆議院議員)も高校から成城学園に入り、成城大学経済学部を卒業している。池田勇人が京都大学、佐藤栄作が東京大学、大平正芳が一橋大学を卒業なのとは大きく違っている。

 別に東大や京大を成蹊や学習院の上に置くつもりはないが、

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