メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ギリシャ危機再燃!?新政権が目指すもの

ドイツ・欧州エリート層が見当違いな政策を強要、大不況から脱却する道筋は見えるか

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 今やドイツなどの欧州連合・ユーロ圏エリートに対する怨嗟の念が、「ユーロ危機」勃発以降は財政緊縮を強いられているギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリア、キプロスなどの南欧諸国やアイルランドなどで、沸騰点に達していると言っても過言ではないだろう。

急進左翼進歩連合が勝利を決め、国旗や党の旗などを振って喜びにわく支持者たち=2015年1月25日、アテネ大学本部前、梅原季哉撮影 急進左翼進歩連合が勝利を決め、国旗や党の旗などを振って喜びにわく支持者たち=2015年1月25日、アテネ大学本部前、梅原季哉撮影

 1月25日に実施されたギリシャ総選挙の結果を受けて、緊縮財政を拒否する急進左派連合 (SYRIZA)のチプラス党首が26日、首相に就任した。

 同連合は、300の総議席の内で149議席を獲得と、単独での過半数の制覇には2議席足りなかったが、同じく反緊縮を掲げ、13議席を獲得した右派の保守政党「独立ギリシャ人」と連立政権を成立させた。

 最近のデータ(2014年10月)では、ギリシャの完全失業率は、25・7%の高水準にとどまっていた。25歳以下の完全失業率は49・8%(同年9月)にも達している。この状況を「大不況」と呼ばずして、如何なる経済状態を、そう呼ぶのか?

 ギリシャと同様の緊縮財政にあえぐスペインの完全失業率(同年11月)は23・9%、 25歳以下では53・5%(同年11月)と、異常な高水準である。緊縮財政を強いられている他の諸国も、10%以上・15%未満の高水準の完全失業率に苦しんでいる。

 2007年夏以降のサブプライム危機、2008年秋以降のリーマンショック、2010年以降のギリシャ危機の勃発で本格化した「ユーロ危機」は、「ユーロ圏」の制度設計上の欠陥から生じているものである。中央銀行制度の統合はできたが、ユーロ圏加盟国の財政統合はできていないということに尽きる。

 1999年のユーロの発足で、ユーロ圏内では外国為替レートの変動リスクはなくなった。ギリシャは遅れて、2001年のユーロ圏に加盟した。為替リスクがなくなったこともあり、ドイツなどの高賃金国から、ギリシャなどの南欧の低賃金国へ大量の仕事がもたらされた。欧州中央銀行が今世紀初めの株価暴落、不況に対処するために低金利政策を取ったこともあり、これらの国々に大量の資金も流れた。南欧経済は大きく潤い、南欧経済は拡大した。

 しかし、金融引き締め、サブプライム危機、リーマンショックで、資金の流れが逆転すると、全てがアベコベになった。景気の急激な悪化で、ギリシャの財政、銀行などの金融機関は

・・・ログインして読む
(残り:約1767文字/本文:約2731文字)