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金融政策は本当に死んだのか

低成長・低インフレ下で世界の中央銀行が直面している難題

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 2008年9月のリーマンショック後、まずアメリカが金融の量的緩和に踏み切り、2009年、2010年、2012年と3度にわたる緩和を実施した。その結果、マイナス成長に陥っていた景気は回復し(2008年マイナス0.29%、2009年マイナス2.78%)2012年以降は2%を越える成長率を達成している。

黒田東彦・日本銀行総裁も難題に挑み続けている=2014年12月19日、日銀本店

 日本銀行も2013年3月黒田東彦総裁の就任後、「異次元金融緩和」を実施、円ドルレートは円安に転じ、株価も大きく上昇した。2013年の成長率は1.52%まで上昇。2014年、消費税増税の影響で経済が落ち込むと、日銀は再び10月31日追加的金融緩和に踏み切った。

 欧州中央銀行(ECB)もアメリカ、日本に続いて金融緩和に方向転換し、2015年2月10日のG20財務省・中央銀行総裁会議は「成長見通しが改善するまでは金融政策を緩和的に維持することが必要だ」との見解で一致している。

 たしかに、先進各国は低成長・低インフレの局面に入ってきていて、当面インフレの心配はない。むしろ、デフレーション、ディスインフレーションに

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