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斎藤隆博特捜部長の腕が試される東芝〝粉飾〟事件

ウカウカしていると米証券監視委員会に先を越される可能性も

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 東芝が、約6年間に渡って総額1500億円の税引き前利益を〝過剰〟に計上していたことが明らかになり、歴代3首脳が引責辞任した。

 いまの東京地検特捜部長は、2006年のライブドア事件を特捜部の主任検事として手がけた斎藤隆博氏である。証券取引等監視委員会の事務局長は、やはり特捜部とタッグを組んでライブドア事件と村上ファンド事件を手がけた佐々木清隆氏(当時は証券監視委特別調査課長)。はたして東芝への強制捜査に踏み切るか。斎藤特捜部の力量が問われている。

東芝が決算の営業利益を水増ししていた問題について会見で調査内容を説明する第三者委員会の上田広一委員長(中央)ら=7月21日、東京都港区

 東芝の委嘱した第三者委員会が7月21日に開いた記者会見で、私が刑事事件になる可能性を尋ねると、上田廣一委員長(元東京高検検事長)は「(依頼された)調査範囲以外のことなので答えるのは難しい」と述べた上で、「過去の事例と照らしあわせて考えていただきたい」と言及した。

 カネボウの粉飾決算事件では、実際には債務超過で赤字だったのに2期連続で800億円以上の黒字が出ていたと装った。ライブドア事件でも実際には赤字だったのに50億円以上の利益が出ていたと装っていた。両事件とも経営トップらが逮捕され、後に有罪判決を受けている。

 「チャレンジ」と促した東芝経営陣と「やるしかない。やりきるしかない」と言って

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