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最も重要なのに議論されていないヒアリ対策とは

日本は過去の過ちを繰り返してはならない

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

議論されていない効果的な対策

ヒアリ対策で殺虫エサを設置する市職員=釧路市の釧路西港  

ヒアリ対策で殺虫エサを設置する市職員=釧路市の釧路西港

 ヒアリの侵入が大きな問題となっている。ホームセンターでは、アリの防除剤が大量に買われている。ヒアリではないアリたちにとって大変な災難だが、多くの国民が脅威を感じているのである。

 しかし、ヒアリの侵入や蔓延(まんえん)に対する対策には決め手はないようである。

 NHKの日曜討論で、ヒアリの生態に詳しい昆虫学者、物流の専門家などの人達が討論していたが、入ってくるのは防ぎようがないとか、入られてしまうとコンテナは各地に送られるのでヒアリの拡散はしかたないとか、否定的な議論ばかりが聞こえ、専門家同士の間で自分の分野では手におえないからあなたの所管だといった消極的な権限争い(責任の押しつけ合い)をしているかのような印象を受けた。

 また、政府でも、水際で食い止めることが重要だとして、中国等からの貨物船の運航が多い68の港湾でアスファルトの割れ目を埋めて、ヒアリが巣を作らないようにするといった原始的な対策が講じられているにすぎない。

 私は、このような対策や議論を聴いて、最も重要で効果的な対策が検討もされていないのではないかと感じる。

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