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キャンディーズから考える70年代アイドル(下)

アイドルの「忘れられがちな原点」

太田省一 社会学者

 ファンとキャンディーズの関係性をうかがわせる場面が、コンサートの後半から最後にかけて相次いで登場する。

 コンサートの定番曲のひとつ『SUPER CANDIES』は、本人たちではなく会場のファンがバックを務めるMMPとともにキャンディーズへの応援歌として歌うものだった。

キャンディーズ「本当に、私たちは幸せでした!」という言葉を残したキャンディーズ
 ただその間、いつもキャンディーズは衣装替えなどで聴くことができなかった。

 そこでランが当日「MMPと一緒に歌っているところを聴かせてください」とファンに提案し、初めてキャンディーズの目の前で披露されることになった。

 その間、ステージ上に並んでファンの大合唱を感じ入ったようにじっと聴いている3人。

 そしてそれが終わると同時に『ハートのエースが出てこない』のイントロが流れ出し、オリジナルヒットメドレーが始まる。このコンサートの白眉のひとつだ。

「共同作品」としてのアイドル

 そのメドレーの後に、ラストシングルとなった『微笑がえし』が歌われるのもまた感慨深い。

 当時キャンディーズのライバルと

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