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「おっぱい募金」を許して良いのか?(上)

募金の概念を狂わせる新たな性風俗モデル

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 2015年12月5日と6日、東京都新宿区歌舞伎町で「おっぱい募金」というイベントが開催されました。BSスカパー!の「24時間テレビ エロは地球を救う!2015」という番組の企画で、参加者が1000円以上の募金を行って若いAV女優の乳房を直接素手で触るというものです。

おっぱい募金「おっぱい募金」の様子=ネット画像より(写真は一部加工してあります)
 インターネット上で公開されている映像では、アイドルの握手会のように1列に並んだ女性たちの前を来場客が順番に乳房を触って進んで行く様子を見ることができます。

 既に何年もやっているとのことですが、今年(2015年)のイベントでは2日間で合計7175人の参加者が集まり、募金は614万4567円(一人当たり856円)集まったと公表されました。

 7175人もの人が集まって何時間も女性の胸を触り続けるというこの現象に対して、理屈抜きに異常だと感じた人も少なくないでしょう。

 インターネット上でもたくさんの反対意見が続出し、「おっぱい募金を終わりにしてほしい有志一同」が来年以降の開催の中止を求めてインターネット署名活動を始めています。

 運営側は安全性や法的な面についても考慮しているようですが、このようなイベントが何年も問題無く開催できる現行の日本の法体系と社会秩序に、私自身も疑問を感じざるを得ませんでした。

 実際、世界三大通信社の1つAFP通信では2014年の開催に触れて、都議会のセクハラ野次問題と同様に「old-fashioned views towards women that still permeate Japanese society.(時代遅れの女性観が日本社会に蔓延している)」問題だと指摘しています。

 ではこの企画のどこに社会的な問題があるのでしょうか? 

 (上)では、「募金とは何か?」という論点について、(中)では「おっぱい募金賛成論とブラック企業の類似点」について、(下)では、議論の核となる「おっぱい募金が性的搾取に該当するか否か」について、それぞれ見て行きたいと思います。

募金とは何かを「ふるさと納税」で考える

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