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ワイルドワンズの加瀬邦彦さんの遺作見つかる

死後1年、「蒼い月の唄」としれアルバムに収録、21日は東京でコンサートも

薄雲鈴代 ライター

加瀬邦彦さん(右端)らワイルドワンズの面々=加瀬邦彦音楽事務所提供
加瀬邦彦さん(右端)らワイルドワンズの面々=加瀬邦彦音楽事務所提供
 加瀬邦彦氏が人生を旅立ってから季節はめぐり、4月20日に1周忌を迎える。このほど、加瀬氏が遺していた旋律が見つかり、ワイルドワンズ(鳥塚しげき、植田芳暁、島英二)の3人によってレコーディングされた。

  「昨秋、奥様が自宅の書斎を片づけられていたとき譜面が出てきました。もしかするとこの楽曲はワンズのために作ったものではないかもしれませんが、まず、僕たち3人で思案してみました。リーダー加瀬さんが遺したその曲が、本当にすごくいい旋律で、だからこそ音楽プロデューサーの木崎賢治さんにお願いすることになったのです。木崎さんと加瀬さんと僕は昔馴染でテニス仲間でもあるんです」(島氏)

  音楽プロデューサーである木崎賢治氏は、新旧問わず名だたるアーティストを世に出した人物である。沢田研二、アグネス・チャンをはじめ、大沢誉志幸の『そして僕は途方に暮れる』を誕生させ、吉川晃司の役者としての資質をいち早く認めた審美眼をもつプロデュ―サー。そのヒットメーカーにしても、若き日、「ヒットを出すとはどういうことか」と道に迷い、試行錯誤の日々があったそうだ。その時、加瀬氏が沢田研二に書いてヒットした「許されない愛」を聴き、目の前の霧が晴れたと、以前何かで語られていたことを思い出す。

  「現代のレコーディングは、サウンドプロデューサーのもと、オケをつくる専門の方々がいて、往年のワイルドワンズとは趣のちがう、若い人にも通じる旋律になっています。僕たちならば一節に4文字載せるところ、現代は6文字から8文字。ことばの切り方、節まわしが全然違う。その分、鳥さんは歌うのに苦労したと思うけれど…、すごくいい出来映えです。不思議なことに、往年の曲とは違うのに、バックコーラス、ファルセットと、ワイルドワンズ風のハーモニー、テイストになっています」と島さんは、昨年末、クリスマス前にレコーディングされた模様を語る。

  そして加瀬氏の遺作は『蒼い月の唄』という曲になった。

  「まるで残された僕たちへの贈り物のように

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