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在日米空軍基地の航空祭で見た新型装備の意味

新ガイドライン合意後、急速に進む米軍強化

谷田邦一 ジャーナリスト、シンクタンク研究員

 安倍政権のもとで安全保障関連法が成立して1カ月。戦後最大の政策転換とされる今回の安保法制見直しは、世論を大きく二分し、論議再燃の火種を残してくすぶり続けている。

 そうした危うい空気をよそに、首相官邸や防衛・外務両省は、来春の新法施行に向けた準備作業に急ピッチで取り組み始めた。

 言うまでもなく、安保法制見直しの原点は2015年4月、18年ぶりに日米両政府が改定した「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」だ。

 日米同盟の抑止力の強化をめざし、安倍首相は自衛隊による米軍支援を地球規模にまで拡大し、初めて集団的自衛権行使を盛り込むことで米側と合意した。抽象的な表現が目立つが、日米が今後進める防衛協力のメニューはすべてここに書かれている。

 新法が成立したことで、ひとまず新ガイドラインの実効性を裏付ける国内法が整備された。日本にとっては社会全体の心血を注ぐような格好になったが、さて米国側はどう取り組むのか。

オスプレイに長蛇の列

 実は米側の取り組みが相当進んでいることを、9月に取材した2つの在日米空軍基地の航空祭の会場で知ることになった。

 9月13日に開かれた米軍三沢基地(青森)の航空祭。青森地方は雨模様で、航空ファン待望のブルーインパルスの展示飛行は中止されたものの、入場者数は約10万人にのぼる人気ぶりだった。

 来場者たちの関心を最も集めたのは、同基地に初めて飛来した米海兵隊の新型輸送機「オスプレイ(MV22)」だ。

普天間飛行場から飛来した米海兵隊のオスプレイ@三沢基地.普天間飛行場から飛来した米海兵隊のオスプレイ=三沢基地、撮影・筆者

 ヘリコプターとプロペラ機の利点を同時に取り入れた最新のティルトローター機だが、ザリガニを思わせる異形や頻発する事故のため日本での評判は芳しくない。

 それでも後部扉を開き、中を

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