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民進党には「攻めの戦略」が必要だ

代表選では「古い民進党をぶっ壊す」迫力で、ガチンコの戦いを

児玉克哉 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

民進党代表選の候補者記者会見が終わり、握手する前原誠司氏(右)と枝野幸男氏=8月21日
 9月1日の民進党代表選が迫ってきた。昨年は、党名を「民主党」から「民進党」に変え、代表選で蓮舫氏が選出された。それから1年の今、また代表選ということで、慌ただしい状況だ。この代表選は、次期衆議院選挙に備えるものとなる。衆議院選挙で、先の都議会選のように大敗するなら、民進党は社会党・社民党のような衰退の道を歩む可能性がある。まさに正念場といえる。

 私は現在の民進党は「攻めの戦略」が必要だと考えている。攻めにはリスクが伴う。しかしこのリスクをとならなければ、民進党の復活はないのではないか。

現状は「守り」の選挙戦に

 残念ながら、今回の民進党代表選は完全に「守り」の選挙戦になっている。つまり党の分裂を避けるためにどうするか、が主テーマとなった。政権を奪取してから一気に支持率を下げ、政権運営は大きな失敗に終わった。岡田克也氏、蓮舫氏のもとで再生を試みたが、蓮舫氏の二重国籍問題もあり、結局、浮上することができなかった。そして都議選ではわずかに5議席という屈辱的な敗北を喫した。次々と仲間が離党するなかでは、離党者を防ぐための「守り」の姿勢になることは理解はできる。だがそれではジリ貧のシナリオしかない。

 今回の代表選は、前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長の一騎打ちとなっている。前原氏が保守で、枝野氏がリベラルという位置づけで保守対リベラルの戦いと言われている。しかし党内融和を図るためもあってか、両者のトーンは曖昧(あいまい)になっている。代表選でのテーマは改憲への姿勢、共産党との連携姿勢、消費税アップ、連合との距離、経済政策等が挙げられる。どれもが民進党の方向を定めるのに重要テーマだ。

党内融和を優先し、意見の差が曖昧に

 特に改憲や野党連携、消費税増税では前原氏と枝野氏では明確な意見の差があるはずだが、党内融和を考えて曖昧にされている。前原氏リードの情勢も、枝野氏勝利の場合の保守派離党の可能性を嫌っていることが要因として考えられる。保守派には小池新党の受け皿があるが、リベラル・左派には受け皿がない。前原氏が勝利するなら当面の分裂は避けられるだろうという発想が前原氏の優勢を支えている。

 こうした守りの選挙ではなく、民進は「攻め」に転じなければならない。そのために熱く、危険な議論ができるかどうかが党勢浮上のためのポイントだ。

 前原氏と枝野氏の間で、

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