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留学生に冷たい東大、異端児を拒絶する学校、そして吉田松陰

秋山仁 数学者、東京理科大特任副学長

 東大の国際化について、松田良一・東大教養学部生命環境科学系教授が『教養学部報第556号』で「もともと留学生に冷たい東大に国際化はできるのか?」と問題提起していた。非常に考えさせられる内容だったので、まずこれを紹介して、日本の大学教育について考えたい。

 松田教授の記事によると、東大には以前から外国の中等教育課程修了生を対象とする特別選考制度があり、数年前、飛び級で母国の中等教育を終了した16歳の留学生を入学させたことがあった。飛び入学を早くから実施している千葉大学では、特別の少人数制のサポートをしているが、東大には飛び級生にも留学生にも特別なサポートはほとんどない。日本の高校との学習内容の違いなどもあって、その学生は2年進級時に留年してしまい、そのため奨学金が打ち切られてしまった。日本や海外の他大学に移ろうにも単位互換はほぼ不可能、彼は困り果て個別に何人かの教員を訪ねたのだが、東大は昔から「ルールはすべて履修の手引書や入学時のオリエンテーションで説明済みのはずだ」と言って学生を退けるのが常で、この16歳の留学生への対応も全く同じで気の毒だったという。

 そういう感じでやってきた同大学で、今年度から、英語による国際化教育プログラムが開始され、このプログラム枠で新たに定員30名を国際環境学コース(理II枠)と国際日本研究コース(文III枠)で受け入れることになった。松田教授はこの制度の広報をすべく諸外国の有力高校を訪問して歩いているそうだが、その際、

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