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豊洲移転を進めるために一番大事なこと

追加対策の「良い点」、「無駄な点」、「注意を払わなければならない点」

中西準子 中西準子(産業技術総合研究所名誉フェロー)

豊洲移転にむけた追加対策とは

会見する東京都の小池百合子知事=6月20日、都庁、山本裕之撮影
 6月20日、小池百合子都知事は中央卸売市場の豊洲への移転という方針を示した。これまで、豊洲移転の最大の課題とされた安全問題については、「地下水から環境基準値を超す濃度の有害物質が検出されている、追加の安全対策をする」と述べたのみだった。6月11日には、「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」(座長平田健正・放送大和歌山学習センター所長)(以下、「専門家会議」)が「豊洲市場における対応策の方針」を発表しており、これを具体化した物が「追加の安全対策」(以下追加対策)であろう。

 筆者は、豊洲市場の安全について心配な点はないとの考えだったので、追加対策は不要で、百害あって一利なしと思っていたが、追加対策が出るまでの膨大な資料(会議の中継)を丁寧に見ていくうちに、この提案には、良い点と無駄な点と注意を払わなければならない点の三つがあると思った。せっかく決まった豊洲移転を間違いなく進めるために、何が大事かについて書いておきたい。都民はもちろんだが、何よりも政治家、マスメディアの方に読んで頂きたい。責任ある情報発信をして頂きたいから。

 以下の表に6月11日に専門家会議が出した追加対策をまとめた。これは、「専門家会議の提案」→「それを受けた東京都の対策提案」→「それを委員会が了承」という形式になっている。

豊洲市場の追加対策

 先に述べた筆者の評価で言えば、ア)は無駄、イ-1)は必要(具体案は検討の余地あり)、ただし、イ-2)の目的とはお互いに矛盾することに注意が必要、イ-3)が最も問題で、要注意である。

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