肖宇生
2010年06月24日
最近、台湾EMS産業の代表、最大手である鴻海精密集団はかつてないほどの風圧を受けている。なぜならその主力工場であるフォクスコンは今年に入ってから、工場内で飛び降り自殺を図った従業員が12人に達し、今年の5月だけでも5人に上っている。アップルやHP、デルなどグローバル企業にOEM製品を提供し、EMS最大手に上り詰め、その創業者である郭台銘氏も台湾屈指の大富豪で立志伝中の人物であり、今まで脚光を浴びてきた新興企業だが、今はその経営手法が批判の矢面に立たされている。フォクスコン事件を通して今後の潮流を予測してみた。
世間を震撼させた連続飛び降り自殺事件の衝撃
フォクスコンの深セン工場は何十万の従業員が働いており、生産ラインや宿舎、食堂などを敷地の中に収めている「独立王国」のようだ。ここはアップルやデル、HPなど世界メジャーのOEM生産として毎日世界中へ出荷し続けてきた世界の工場の典型なのだ。ただ、温もりのない厳格な軍事化管理や長時間の単純労働など、地方からの出稼ぎがほとんどの従業員から健康的な心理状態を奪っているといわれてきた。特に今年の連続飛び降り自殺が続くようになり、中央政府まで巻き込んだ社会論争を巻き起こしている。
台湾企業の風雲児である郭氏も深セン工場に足を運び事態の収束を図ったが、記者会見の翌日に又犠牲者が出るなど、事態は拡大の一途だ。郭氏も労働者を搾取する資本家の代表格に祭り上げられ経営の改善を迫られている。そういう四面楚歌の中、フォクスコンは従業員の精神ケアを徹底すると同時に一週間のうちに立て続けて2回ラインワーカーの給料をアップさせたが社会の怒りは収まりそうもない。果たしてこの事件は今後どういう展開を見せるか、中国の世論は固唾を呑んで見守っている。
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