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消費税増税、立ちすくむ暇なし

原真人

参院選の争点に「消費税」を採り上げた菅首相の心意気やよし。そう思っていたら、菅首相がサミット出席先のカナダ・トロントで、自民党の税率10%公約を参考に税率引き上げを検討するという自らの発言が「公約ではない」と、記者団に述べたそうだ。消費税問題が選挙戦に影を落とし、内閣支持率が10ポイントほど落ちている。これを懸念して増税トーンをややダウンする修正をはかっているのだろう。

 だが首相にはここで日和見的な態度はとってほしくはないものだ。今回の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言でも明らかになったように、先進国で際だってひどい日本の財政事情が改善するのは容易ではないと世界は見ている。だからこそ、先進国の財政再建目標(2013年までに財政赤字を半減)を日本は達成できない、と見なされ、「仕方ないから日本だけ大目に見てやる」と言われたのだ。日本だけが例外扱いになったことでホッと胸をなでおろしている場合ではない。これは屈辱的なことなのだ。今後、政策対応を誤れば世界から総スカンにあったり、市場で日本そのものが売り込まれたりするリスクも背負うことになる。そこを踏まえるなら、菅氏はみずからに課された「歴史的使命」をしっかり認識するはずだ。

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